Teelineとは英語の速記術で、これはその入門書。フランス語のディクテで、「全部聞き取れているのに書ききれない」というフラストレーションから買ってみたが、買ってから分かったが、Teelineは基本的に英語向けである。結局、なかなか独習は難しいという結論である。まあ、これを参考に独自の速記法を開発したりしてもいいかもしれない。
A good primer to Teeline system.
Heinemann (2012/2/8)
ISBN-13: 978-0435453527
Teelineとは英語の速記術で、これはその入門書。フランス語のディクテで、「全部聞き取れているのに書ききれない」というフラストレーションから買ってみたが、買ってから分かったが、Teelineは基本的に英語向けである。結局、なかなか独習は難しいという結論である。まあ、これを参考に独自の速記法を開発したりしてもいいかもしれない。
A good primer to Teeline system.
Heinemann (2012/2/8)
ISBN-13: 978-0435453527
本棚から発掘した・・・。いわゆる「反精神医学」というもので、レインは実存主義哲学の精神分裂病への応用の代表と言える。結局、精神病の治療法としては全く効果がなかったようだが、わたしにとっては、後にも先にもこれほど衝撃を受けた本はない。哲学に深入りする切っ掛けになった忌むべき本である。以後、レインの書いたものは自伝に至るまでほぼ全部読んだし、ミンコフスキーだの木村敏だの読みまくったものだ。今となって思えば、レインの言っていることは誰にでもどの家庭でも多少はあることで、正気と病気の違いは、単にそこにどれだけ執着しているかだけの差でしかない。差が出る原因は遺伝なのか何なのかよく分からないが、実存的問題が精神病を起こすというわけではないようだ。まあそれはそれとして、実存哲学の入門書として悪くないだろう。実存哲学自体が既に滅亡しているんでアレだが・・・。
A good introduction to existentialism.
Penguin Books; Reprint版 (1965/8/30)
ISBN-13: 978-0140135374
このタイトルで意味が分かる人は少ないと思うが、要は英国国教会(とその仲間)の歴史である。仲間というのは、英国国教会の流れを組む教会は英国以外のアメリカやインドなどにも存在し、なんでそんなことが可能なのか理解できないが、日本にまで存在するのである。内容的にはかなりマニアックというか、内部にいる人にしかここまで深い知識は必要ないというようなくらいだ。ガチの信者でなければ、英国史の一面として読む分には面白い。英国通を目指すならこの本は必読かもしれない。
わたしはというと、わけあって、キリスト教自体にはそこそこ詳しいが、今まで英国国教会についての本は読んだことがなかった。一般的な知識としては、直接的には国王が離婚するためにローマ・カトリックから領内の教会をご都合主義的に強権で自分の支配下においた組織であり、実際この本でもその通りに記述されている。どうもこのあたりのドライさと信仰心の両立は、キリスト教についてはいつも不可解に思うところだ。
Very unique and amusing.
Oxford Univ Pr (2006/7/27)
ISBN-13: 978-0192806932
星の一生の概説・・・というと中高生向きの科学書にありがちなテーマに思えるが、高校程度の地学と物理くらいの知識がないと分かりにくいところもあるような気がする。基本的にはH-R図に沿って解説されるが、最後のほう、コンパクト星と連星系あたりの話は、少なくともわたしは地学の時間に聞いたことがない。だいたい、高校の地学は博物学みたいなところもあり、星の進化については「そういうものだ」ということで、原理などの解説は少なかったが、ここではさらに深く解説されている。ここで必然的に物理の知識も多少は必要になる。志の高い高校生なら、わりと良さげな翻訳も出ているので読めそうだ。
Fascinating. The author explains how stars evolve and how we know that, following the "H-R diagram". Maybe a bit difficult for laymen.
Oxford Univ Pr (2012/9/7)
ISBN-13: 978-0199602926
CDショップの「ワールドミュージック」の棚に並んでいるような音楽に関する概説というか、音楽人類学的な雑駁な議論。要は民族音楽の話で、雑駁だが著者としては一貫して民族音楽の他者性の利用のされ方に関心があるようだ。世界音楽と言っても所詮西洋の観点からの整理に過ぎず文化帝国主義云々とか、国家主義者によって民族音楽が保護活用されて云々とか、逆に反体制派に「土着」とかいう名目で民族音楽が利用されて云々とか、まあそんなこんなで。特段画期的な考察があるわけではなく、現在の音楽流通の様子を眺めている。
個人的には、フランス語の勉強をしていると、やたらアフリカの音楽に学びとかいうミュージシャンのインタビューを聞くことが多く、もちろん旧植民地という事情があるのだが、正直なところ、ほぼ全員が同じようなことしか言っていない。それも今に始まったことではないのだろう。民族の独自性を称揚するはずの国歌が、みんな同じに聴こえるという絶望的な現実はよく考える価値がある気がする。もっと小さなレベルに行くと、どこの学校の校歌も同じに聴こえるのと同じ現象なのだろうか。このあたり、論理のメスの入りにくいところである。
It presents a wide range of phenomena of so-called "world music". Miscellaneous themes, but it seems that the author constantly is intrigued by various ways by which "ethnicity" is exploited for political causes.
Oxford Univ Pr (T) (2002/8/29)
ISBN-13: 978-0192854292
幹細胞に関する概説書。最初に簡単な細胞の生物学の解説。続いて、ES細胞・iPS細胞・組織特異的幹細胞(tissue-specific stem cell)の科学技術的解説と応用例の解説。最後に幹細胞研究の将来展望と若干の政治学など。重点はあくまで科学・技術・臨床の解説にあり、倫理や扇情的な未来予測については記述は薄い。特にiPS細胞については非現実的な解説書や報道が多い中、この本はVSIの中でも名著と言える。少し難しいかもしれないが、高校程度の生物学の知識があれば読めるんじゃないかと思う。医学部生が読んでもいいのではないか。
というのも、この本でも主張されていることだが、とにかくiPS細胞の臨床応用については、大衆の期待が高いし、科学者のほうでも予算獲得のため、あまり熱狂に水を差すようなことを言わないことになっている。かくして金集めのために詐欺的な宣伝も行われるし、新聞も「世紀の誤報」をやってくれるわけだ。もちろん、この件については、日本も最先端の技術を誇っているはずであり、現に京大や山中教授の本もあるが、この淡々とした本も基礎科学の把握に有効だ。少なくとも、いい加減な新聞社やジャーナリストが書いた物に騙されなくなるだろう。
A great overview of technologies around stem cells.
Oxford Univ Pr (2012/3/24)
ISBN-13: 978-0199603381
タイトルが短過ぎて意味が分からないのはVSIの毎度のことだ。基本的には、恐怖症・社会恐怖症(対人恐怖症)・パニック障害・強迫神経症・PTSDなどの概説。各症状について疫学的・神経学的・遺伝的・心理的な解説がされているが、いずれにせよ現在ではCBT(Cognitive Behaviour Therapy: 認知行動療法)が目覚ましい成功を挙げているので、心理的なメカニズムの解説(と言っても仮説の域を出ないが)が中心になる。対策としてはCBTが中心だが、それほど複雑な話でもないし、悩んでいる人はさっさと医者にかかったほうがよい。まあ、医学的に診断を下されるまでいかなくても、誰しも心配・不安の類は日常的に経験することだし、心理メカニズムの解説は色々面白い。わたしとしては、自分自身もかつては結構な心配性だったことがあるし(坐禅で治った)、周囲にも絵に描いたような強迫神経症とか閉所恐怖症の人もいるので、連中が英語が読めるのなら推薦したいところだ。
A general account of phobias, PDST, panic disorder, etc. CBT is successive enough now, so psychological account is the main theme.
Oxford Univ Pr (2012/7/5)
ISBN-13: 978-0199567157
元素に関するよもやま話。周期律表の発見とか酸素の発見とかドルトンの原子説とかギリシアの哲学者はどうこうとか、ありがちな話で日本語でも類書は多い。高校生ないし中学生くらいでも十分読める程度だ。
A wide range of talks about elements. Not very original.
Oxford Univ Pr (2004/10/7)
ISBN-13: 978-0192840998
安定して面白いこのシリーズである。今回はRowleyにgirlfriendができたため、「友達がいない」という状況だが、どうも友達がいないのは彼の国では日本ほど深刻な問題ではないらしい。つまり、学校・クラスが日本のように閉鎖的でないのであり、一人で昼飯を食っていても誰にもバカにされないし、「二人ずつ組みになってー」みたいなこともないのだろう。代わりに、親戚の話がメインになっている。まあその親戚というのも、あまり徳の高い人々ではないし、主人公も積極的に付き合いたいとは思っていないわけだが。子供の頃にこういう本があったらなー。ま、日本ではこんなリアルな児童書はPTAに断罪されるだろうけどね。洋書だと途端に甘くなる。まだ翻訳が出ていないようだが、すぐに出るだろう。しかし、毎度申し上げている通り、これは原語で読まなければ面白さが半減すると思う。
My favorite. Generally I hate books for children, but this series is a notable exception. I guess it is because I was and am a Greg.
Harry N. Abrams (2013/11/5)
ISBN-13: 978-1419711329
HTML5のWalkthroughというとありがちな気もするが、特にCanvasに詳しい。なかなかの重厚さで、ある程度経験のある人がHTML5で何が可能なのかを知るには最善だろう。逆に、HTML5の特定部分だけ知るだけなら、Canvas部分は別として、もっと特化した新しい本を探したほうが良いかもしれない。もっとも、この本でも、レファレンスとまではいかないかも知れないが、相当な所まで分かる。もちろん、HTML5は進化中なので、最新情報を取り入れる努力は必ず必要だが・・・。たとえば、<hg>が抹殺されたとか・・・。
A very good overview/introduction to HTML5 for those experienced with Web programming.
Sams Publishing; 1版 (2013/7/26)
ISBN-13: 978-0672336270
科学と宗教、というか現代科学とキリスト教との折り合いの付け方の研究。完全な無神論と極端な原理主義を別としても、たいていの人はそんなに真剣に考えないと思うし、科学と宗教の両立に矛盾を感じている人も少ないと思うが、「なぜ奇蹟はたまにしか起こらないのか」とか「なぜ悪が存在するのか」とか「神はどこにいるのか」とか真剣に考えると色々面倒臭いことになるという話である。西洋では昔からよくある話で、ヒュームだのドストエフスキーだのでもおなじみの主題だ。個人的には正直どうでもいいが、米国におけるInteligent Design論の展開の解説にかなりの紙幅を割いており、歴史的・法学的・科学的・神学的・政治的な状況の解説が勉強になった。
Aside from the decided atheism and extreme fundamentalism, a few people worry about questions like "why do not miracles happen more frequently?" or "where is God?" or "does Heaven exist?". This book explores a wide range of answers for these questions and history. I am a Buddhist and do not worry these problems too much, but very interested in political situations about ID theory in the US. In this respect, it was very informative.
Oxford Univ Pr (2008/08)
ISBN-13: 978-0199295517
「何でも直ぐに法律を作るな」的なところから始まる本。日本で言うところの「法制執務」に当る。立法のためのガイドブックだ。このブログを読む人がフランス語で法律を作ろうと思うとは考えられないが、法律の読解の参考にもなる。字も大きくて読みやすいし、基本書として通読して一冊持っておくのが良い。言葉使いなども解説されてはいるが、日本で言うところの「またはと若しくは」「直ちにと遅滞なく」とかいうような話は、フランス法ではないようだ。更に研究するが、無いものを探しても仕方ないかのう。
Une introduction pour rédiger des lois. Utile aussi pour lire des lois, je crois.
Berger-Levrault; Édition : 7e édition (7 décembre 2012)
ISBN-13: 978-2701317908
フランスの法律入門書だが、個別具体的な法律ではなく、法制度の一般論のさらに入門書みたいな感じで、場合によっては人類学から解説していたりする。予備知識は全く必要なく、法律の全くの素人でも読めるし、フランス語自体も易しい。
そもそも日本の法体系がフランスの法体系の輸入で成り立っており、特に前半は分かり切っている部分も多いとは思うが、フランス固有の話も多い。子どもの名前は三つまでつけて良いとか初耳だったが・・・。フランス本国でも評判は良いようだし、これからフランス法の勉強をしようというような法学部生が最初に読むのには自信をもって推奨できる。
Une introduction excellente.
いわゆるITILの原典。仕事で使う人はitSMFで売っている日本語訳とともに職場に装備しているべきで、今更どうこういう話でもない。ITILは規格ではないと言い張っているが、実際には規格に近い使われ方をしている。一番大きいのは用語の統一で、特に社外との取引・契約などで、それはこの言葉に含まれているとか含まれていないとかいうような面倒を大幅に削減する。業界標準に近いので、好き嫌いはさておき、使わざるを得ない。個人的にはITILの試験なんかに参考にする人が多いと思うが、ファウンデーションくらいなら、原典に当たらなくてもITIL Foundation Exam Study Guideみたいな本を読んでいれば何ら困難なく受かる。その先は、やはり原典が必要になるかもしれない。
An industry standard, though ITIL itself refuses to be called as such.
Stationery Office (2011/7/29)
978-0113313235