2013年11月15日金曜日

Jeff Kinney "Diary of a Wimpy Kid #8 - Hard Luck"

安定して面白いこのシリーズである。今回はRowleyにgirlfriendができたため、「友達がいない」という状況だが、どうも友達がいないのは彼の国では日本ほど深刻な問題ではないらしい。つまり、学校・クラスが日本のように閉鎖的でないのであり、一人で昼飯を食っていても誰にもバカにされないし、「二人ずつ組みになってー」みたいなこともないのだろう。代わりに、親戚の話がメインになっている。まあその親戚というのも、あまり徳の高い人々ではないし、主人公も積極的に付き合いたいとは思っていないわけだが。子供の頃にこういう本があったらなー。ま、日本ではこんなリアルな児童書はPTAに断罪されるだろうけどね。洋書だと途端に甘くなる。まだ翻訳が出ていないようだが、すぐに出るだろう。しかし、毎度申し上げている通り、これは原語で読まなければ面白さが半減すると思う。

My favorite. Generally I hate books for children, but this series is a notable exception. I guess it is because I was and am a Greg.

Harry N. Abrams (2013/11/5)
ISBN-13: 978-1419711329

2013年11月14日木曜日

Simon Sarris "HTML5 Unleashed"

HTML5のWalkthroughというとありがちな気もするが、特にCanvasに詳しい。なかなかの重厚さで、ある程度経験のある人がHTML5で何が可能なのかを知るには最善だろう。逆に、HTML5の特定部分だけ知るだけなら、Canvas部分は別として、もっと特化した新しい本を探したほうが良いかもしれない。もっとも、この本でも、レファレンスとまではいかないかも知れないが、相当な所まで分かる。もちろん、HTML5は進化中なので、最新情報を取り入れる努力は必ず必要だが・・・。たとえば、<hg>が抹殺されたとか・・・。

A very good overview/introduction to HTML5 for those experienced with Web programming.

Sams Publishing; 1版 (2013/7/26)
ISBN-13: 978-0672336270

2013年11月8日金曜日

Leofranc Holford-Strevens "The History of Time: A Very Short Introduction"

タイトルがムダに気取っていて分かりにくくて腹が立つが、要するに歴史上の色々な時刻の切り方と暦の紹介である。と言っても、中東以西に限られていて、中国や日本の話はない。類書は多いが、情報量の多さ(アジアを除く)は参考文献としての価値もある。
Very irritating titling; an overview of a wide range of historic calendar and ways of splitting a day into hours. Very informative.
Oxford Univ Pr (2005/10/27)
ISBN-13: 978-0192804990

Thomas Dixon "Science and Religion: A Very Short Introduction"

科学と宗教、というか現代科学とキリスト教との折り合いの付け方の研究。完全な無神論と極端な原理主義を別としても、たいていの人はそんなに真剣に考えないと思うし、科学と宗教の両立に矛盾を感じている人も少ないと思うが、「なぜ奇蹟はたまにしか起こらないのか」とか「なぜ悪が存在するのか」とか「神はどこにいるのか」とか真剣に考えると色々面倒臭いことになるという話である。西洋では昔からよくある話で、ヒュームだのドストエフスキーだのでもおなじみの主題だ。個人的には正直どうでもいいが、米国におけるInteligent Design論の展開の解説にかなりの紙幅を割いており、歴史的・法学的・科学的・神学的・政治的な状況の解説が勉強になった。

Aside from the decided atheism and extreme fundamentalism, a few people worry about questions like "why do not miracles happen more frequently?" or "where is God?" or "does Heaven exist?". This book explores a wide range of answers for these questions and history. I am a Buddhist and do not worry these problems too much, but very interested in political situations about ID theory in the US. In this respect, it was very informative.

Oxford Univ Pr (2008/08)
ISBN-13: 978-0199295517

2013年11月5日火曜日

Catherine Bergeal, Renaud Denoix de Saint Marc "Rédiger un texte normatif : Manuel de légistique"

「何でも直ぐに法律を作るな」的なところから始まる本。日本で言うところの「法制執務」に当る。立法のためのガイドブックだ。このブログを読む人がフランス語で法律を作ろうと思うとは考えられないが、法律の読解の参考にもなる。字も大きくて読みやすいし、基本書として通読して一冊持っておくのが良い。言葉使いなども解説されてはいるが、日本で言うところの「またはと若しくは」「直ちにと遅滞なく」とかいうような話は、フランス法ではないようだ。更に研究するが、無いものを探しても仕方ないかのう。

Une introduction pour rédiger des lois. Utile aussi pour lire des lois, je crois.

Berger-Levrault; Édition : 7e édition (7 décembre 2012)
ISBN-13: 978-2701317908

2013年11月1日金曜日

Muriel Fabre Magnan "Introduction générale au droit"

フランスの法律入門書だが、個別具体的な法律ではなく、法制度の一般論のさらに入門書みたいな感じで、場合によっては人類学から解説していたりする。予備知識は全く必要なく、法律の全くの素人でも読めるし、フランス語自体も易しい。

そもそも日本の法体系がフランスの法体系の輸入で成り立っており、特に前半は分かり切っている部分も多いとは思うが、フランス固有の話も多い。子どもの名前は三つまでつけて良いとか初耳だったが・・・。フランス本国でも評判は良いようだし、これからフランス法の勉強をしようというような法学部生が最初に読むのには自信をもって推奨できる。

Une introduction excellente.

Stationery Office (Great Britain) "ITIL Service Lifecycle Publication Suite 2011"

いわゆるITILの原典。仕事で使う人はitSMFで売っている日本語訳とともに職場に装備しているべきで、今更どうこういう話でもない。ITILは規格ではないと言い張っているが、実際には規格に近い使われ方をしている。一番大きいのは用語の統一で、特に社外との取引・契約などで、それはこの言葉に含まれているとか含まれていないとかいうような面倒を大幅に削減する。業界標準に近いので、好き嫌いはさておき、使わざるを得ない。個人的にはITILの試験なんかに参考にする人が多いと思うが、ファウンデーションくらいなら、原典に当たらなくてもITIL Foundation Exam Study Guideみたいな本を読んでいれば何ら困難なく受かる。その先は、やはり原典が必要になるかもしれない。

An industry standard, though ITIL itself refuses to be called as such.

Stationery Office (2011/7/29)
978-0113313235

2013年10月31日木曜日

Jean-Paul Betbèze, Jean-Dominique Giuliani "Les 100 mots de l'Europe"

これを読んだのは少し前で、忘れ気味だが、タイトルから分かりにくいが、要するにEUの解説と思って良い。ただ、EUの変化はIT業界並なので(特にこの間はリスボン条約)、今さらこの本は推奨しない。新版が出たらお勧め。

Une introduction de l'Union Européenne. Un peu vieille.

Presses Universitaires de France - PUF; Édition : 1 (13 avril 2011)
ISBN-13: 978-2130581437

Dominique Roux Xavier Niel "Les 100 mots de l'internet"

ネット関係のフランス語の語彙を拾うべく読んだが、(当たり前だが)一般人向けなので、わたしとしては当たり前のことしか書いていない。さらに、フランスはアメリカはもとより、日本や英国に比べてもネット普及が遅れている。ただ、一般人で多少ネットに興味があってフランス語の勉強をしようという人には良いだろう。一記事が短いので読みやすい。

Pour des amateurs, naturellement.

Puf (2012/11/28)
ISBN-13: 978-2130592112

2013年10月29日火曜日

Terence Allen, Graham Cowling "The Cell: A Very Short Introduction"

細胞についての普通の教科書的説明。あまり類書を読まないので知らないが、標準的なところではなかろうか。特に特徴があるようには思えなかった。ただ、話自体は面白い。

A standard textbook.

Oxford Univ Pr (2011/11)
ISBN-13: 978-0199578757

2013年10月25日金曜日

Larry Ullman "Modern JavaScript: Develop and Design"

JavaScriptの入門書にして決定版というところだろう。そもそもJavaScriptの入門書でこんなに分厚い例は他に知らないし、ずっと手元に置いておいてレファレンスとして使用することも可能だ。明白な開発目標もなく、ただできるだけJavaScriptを知り尽くしたいということならこの本以外に選択肢はない。習うより慣れろな人にはお勧めしかねる。

The most comprehensive introductory book of JavaScript.

Peachpit Press; 1版 (2012/2/17)
ISBN-13: 978-0321812520

Addy Osmani "Learning JavaScript Design Patterns"

いわゆるGoFのJavaScript/jQueryバージョン。前提知識としてGoFまたはそれ相当のものを理解していて、ある程度JavaScriptの経験を積んでいることが必要だ。その上でいくつか参考になる話もあるというくらい。

Some observations on JavaScript design patterns.

Oreilly & Associates Inc; (2012/8/27)
ISBN-13: 978-1449331818

2013年10月23日水曜日

Alan Winfield "Robotics: A Very Short Introduction"

ロボット工学の入門書・・・というよりは、ロボットの生態学というか進化学というか、概念的な説明である。たとえば、ロボットには感覚器官と動作機構が必要だとか、学習できるべきだとか、自分でエネルギーを補給できるべきだとか、「不気味の谷」があるとか・・・。現存する様々なロボットの例示も多いし、未来のロボット、たとえばセックスロボットにまで言及されている。しかし、ロボット製作に必要な工学などについてはほとんど説明されていない。この点に期待しているムキにはお勧めできない。従って予備知識はほとんど必要なく、中学生でも読めると言うか、中学生が対象読者なのかもしれない。

この著者は一貫して動物とのアナロジーを考えており、キリスト教文明の強迫観念を感じる。生物を概念的に機能分解して、それぞれの機能と各種ロボットが実現している機能を説明することが多く、そんなことにあまり興味のない実用主義の日本人には、いまいち趣旨が分からないところかもしれない。これは個人の嗜好の問題かと思うが、翻訳してもいまいちの気がする。

A conceptual introduction to robotics. It explains how well robots mimic functions of animals. But not explains mechanics.

Oxford Univ Pr (2012/11/17)
ISBN-13: 978-0199695980

2013年10月22日火曜日

David Adamy "Ew 101: A First Course in Electronic Warfare (Artech House Radar Library)"

電子戦の技術(基礎編)ということで邦訳が出ているが、実際には、アンテナ・レーダーの動作原理とその妨害・欺瞞方法を概念的に解説するのが中心的なテーマである。アンテナやレーダーの基本原理を理解していれば、特に他の予備知識は必要ない。話として難しいわけではないが、民間人がレーダーの妨害を考えることはほとんどないし、ましてや欺瞞の必要性もない。その分、斬新に楽しい。もっとも、個人的には、この話は懐かしいという面のほうが大きい。みなさんもこの本を読んで画期的な電子戦術を発明すれば、自衛隊基地に数ヶ月間軟禁されるかもしれない。

そして、この本、EW102,EW103と続編もあるが、書いている内容が初歩的とは言え、特にコンピュータが入ると内容が直ぐに古くなるのは否定できない。Journal of Electronic Defenseでの連載は続いていて、今は赤外線の話をしているが、こういう内容なら古くならないのだが・・・。もちろん、本気で興味のあるムキはJEDの購読をお勧めする。

It explains basic ideas in electronic warfare. Readers are expected to have basic knowledge of the radar and the antenna, but easy to read enough.

Artech House (2001/02)
ISBN-13: 978-1580531696

Cody Lindley "Javascript Enlightenment"

JavaScriptのいろんな面についての短い雑多な解説をいくつかまとめたもの。が、主軸はオブジェクト指向部分であり、用の無い人には用が無いところだ。他方、何となくJavaScriptを使っている人にとっては、発見があるかもしれない。ただし、オブジェクト指向の一般理論の知識は前提である。prototypeって何、みたいなことだと、この本の大部分は読めない。わたしとしては、ある程度、言語仕様から入ったところがあるので、その方面ではあまり開眼するようなことはなかったが、知らないこともいくつかあった。

Even if you are a seasoned JavaScript programmer, you might find some knowledge that you never had in this book, especially if you have never learned the language in a formal way, which is highly possible.

Oreilly & Associates Inc (2013/1/7)
ISBN-13: 978-1449342883