2021年11月5日金曜日

Michael Freeden "Liberalism: A Very Short Introduction" [リベラリズム:非常に短い入門]

目次:1.多くの住居を持つ家 2.リベラルの物語 3.リベラリズムの層 4.リベラリズムの形態学 5.リベラルの有名人 6.哲学的リベラリズム-正義の理想化 6.盗用・中傷・退廃

政治思想に関する本は大抵書きぶりが面倒くさく、この本も例外ではないとは言えるが、かなりマシなほうかと思う。現実の現行の政治と関係し過ぎるせいもあるけど、本質的に入り組んでいるのだろう。自由主義と資本主義がどう関係するのかとか、自由主義と民主主義に必然的な関係があるのかとか、ちょっと考えただけで面倒くさい。こういう概念の整理に価値がないと言い切ってしまいたくもなるが、整理できないまでも考えたほうがいいのだろう。著者の信念が強く反映されるのは止むをえないが、それでも常識的とされている話からそんなにずれている気もしない。この類の話の整理の仕方として一番良いのは歴史的事件と思想の発展史の対応を理解することで、というか、それ以外の方法があるような気もせず、この本もその方向でしっかり書かれている。例えばchapter3は圧政からの自由→自由な経済活動→自己表現→社会調和→多様性みたいな整理で、この時点で随分分かりやすいような気もする。現代に近いところほど著者の個人的見解が強く感じられ、例えばいわゆるネオリベラリズムは仲間にすら入れてもらえないような感じだが、それでもリベラリズムを名乗るのは価値のあることなんだろう。名乗るのならこの本みたいな入門書くらい読んでおくべきなのかもしれない。

Relatively easy to comprehend, among many books on this topic.

Oxford Univ Pr (2015/8/1)
言語 ‏ : ‎ 英語
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0199670437

0 件のコメント:

コメントを投稿