目次:1.トロイア戦争 2.文字証拠を調査する 3.考古学的証拠を調査する
トロイア戦争については西洋人と日本人ではテンションが違うところがあり、わたしは古典ギリシア語を勉強していた過去があり、未だにイーリアスの冒頭を暗唱できるようなことで、一般論としてどれくらいお勧めできるのか分からないが、この主題については必読書と言える。最初に「イーリアス」「オデュセイアー」を中心に文字証拠が要約提示される。この要約でも本書の理解には十分ではあるが、実際にはこの本を読もうというような人種は少なくともこの二つの叙事詩は既に読んでいるものと思われる。ただ、他にも「叙事詩の環」なども全部追っている人は少ないかもしれない。さらに歴史的証拠も検討される。トロイア戦争を記録しているのはギリシア人だけでなく、ヒッタイト人も記録しており、当時の世界情勢などが分かりやすく述べられる。最後には発掘されたトロイアな証拠が検討されるがなかなか難しいようだ。単に「ギリシア神話が好き」くらいでは少ししんどい本かもしれない(単なる神話でもないし)が、ちょっとでも踏み込む人には避けられない本だ。
μῆνιν ἄειδε θεὰ Πηληϊάδεω Ἀχιλῆος οὐλομένην.
Oxford Univ Pr (2013/5/10)
言語:英語
ISBN-13 : 978-0199760275
0 件のコメント:
コメントを投稿