2018年10月25日木曜日

Collectif "Une Parole par jour de Sagesse 2019" [賢人の言葉一日一言2019]

フランス語の一日一名言卓上日めくりカレンダー。毎日フランス語を強制的に読むのは悪い話ではない。誰でも知っている名言も語学力の一部として重要だ。ただ問題点もある。まず、大きさが随分小さい(大きいトランプくらい)し、置くときに角度があまりなく、平置きに近い。あと、曜日と日本の祝日が入っていない。まあ最後の点については、わたしとしては、曜日や祝日を日めくりで確認する機会はないのであまり問題ではない。しかし、どっちにしろ、カレンダーというより勉強用という気分だ。来年の日めくりカレンダーは職場がLiz Climo、自宅がSports Illustratedで決定とする。このフランス語日めくりは自宅の玄関にでも置いておく。

Un calendrier qui manque le jour de la semaine.

Hugo Image (11 octobre 2018)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2755639032

2018年10月12日金曜日

Liz Climo "The Little World of Liz Climo 2019 Day-to-Day Calendar" [リズ・クリモの小さな世界2019年日めくりカレンダー]

今年のが大変気に入ったので、来年も自宅用はこれで。土日が一枚なので、本当は職場で使う想定かもしれないが、個人的には職場ではちょっと和み過ぎる気もする。単行本を買うより、毎日カレンダーで見るのがちょうど良い。

The best desktop calendar ever.

Andrews McMeel Publishing (2018/7/17)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1449492885

Trends International "Sports Illustrated Swimsuit 2019 Calendar" [スポーツ・イラストレイテッド2019年水着カレンダー]

来年の職場用の日めくり卓上カレンダーを考えていた。長らくDilbertを使っていて、パッと見、品も悪くないし面白いんだけど、作者のWin Biglyを読んでうんざりしたこともあり、代わりを探していた。で、これくらいならお洒落かなと思って、実際現物はとてもお洒落で気に入っているんだけど、ちょっと職場には置けない…。というのも、水着写真とは言え、乳首が透けていたりするので、人目のつく範囲に置いたらセクハラと言われてしまうだろう…。

ただ、あくまでわたし目線で見てのことだが、お洒落で下品でもないし、健康的だし、エロいという気もしないし、本当なら机の上に置いておけばかなり気分が良いはずだ…。この点については感じ方は人それぞれだと思うので何とも言えないが、一遍に机の上が明るくなる印象がある。毎日、その月のカレンダーもついているのはあまり見たことが無く、実用的だ。というわけで、正直、取扱いに困っているが、枕元にでも置いておくか…。

Very good, though I do not know where to put it....

Trends Intl Corp (2018/8/15)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1438859682

2018年9月27日木曜日

Matthew Frederick, Vikas Mehta "101 Things I Learned in Urban Design School" [私が都市計画学校で学んだ101のこと]

全くの素人に都市計画者の視点を教える本。まあ、何がどう計画されているのか分からない町も世の中にはたくさんあると思うが、それにしても一応計画されている。もちろん、比較的新しい関東の私鉄沿線の都市などは分かりやすいし、今でも湾岸はゼロから計画されている。一応こういう本を読んでおくと、デベロッパーや行政が何を考えているのか多少は分かるようになり、街歩きの楽しみが増えるというものだ。とは言うもののこの本、"101 Things I Learned®"の中では、今一つだった気もする。理由の一つは、都市計画に限らず、何の事業にでもあてはまるような教訓が多いせいだろう。

Good enough, though not as good as I expected from other 101 things books.

Three Rivers Press (2018/4/3)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0451496690

2018年8月23日木曜日

Eliane Kurbegov, Edward Weiss "Barron's AP French Language and Culture" [APフランス語と文化対策]

APはアメリカの試験で、受かると大学入試で有利になったり、大学の単位として認定されたりする。SATより上級。わたしがこの本をやった感触では、欧州基準でB2くらいあるかもしれない。B1よりは上だ。仏検なら一級か準一級か…。採点基準が分からないので、実際に受けてどうなるか分からないが、問題自体はそんな感じ。別にこの本でフランス語力をつける趣旨でもないと思うが、トランスクリプト付の音声も大量に入っているので勉強になるし、一通りフランス語文法を終えた人が試しにやって見るにはいいだろう。仏検二級くらいの力ならSATの対策本を見たほうが良い。

わたしとしては、この本はかなりしんどかった。興味の無い内容の長文や音声に集中することの難しさを痛感する。結局、こういう試験で取り上げられるテーマは限られているし、その意味では十分に対策可能なのだろう。作文の模範解答も完備しているし、会話とか口頭発表とかの模範解答も全部音声があり、もちろん流し読み/聞きしただけだが、今更こんな上流階級の頭の良い子みたいな文章を書いたり発表したりできないよなあ…と。しかし、仏検一級を狙うくらいの人なら、こんなのはクリアしないといけないはずだ。自信を無くすが、まあ、別に大学に入るわけでもないし…。

Americans are very good at oral expositions. They are trained to that in this way. I just can't....

Barrons Test Prep; 2版 (2016/2/1)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1438076034

Tracy Arrington, Matthew Frederick "101 Things I Learned in Advertising School" [広告学校で学んだ101のこと]

時々、広告業界入門的な本を読むと「広告は嘘をつく技術ではない」という趣旨の言葉は必ず入っていて、その度に「どう言い繕っても…」と思う。広告技術にそこまで深い興味がなくても、広告を見せられる側の自衛のためにこういう本はみんな読むべきなんだろう。一時期日本でも「クリエイティブ」であることが至高の価値とされていた時代があったけど、基本的に広告業界の思想だったんだろうと思う。それはそれとして、今でも所謂意識髙い系にとって、広告技術の基礎は必須課目だろう。実際のところ、広告のイロハも知らないお偉方が広告に口出ししてグチャグチャにしているのを今も目の前で見ているし、みなさんも自分がそんな風になる前に最低でもこの程度の本は読んで置いてもらいたい。お前がどう感じるかなんか、専門家と統計の前では何の意味もないんだよ…。このシリーズは簡単にすぐ読めるし、一般的にも評判が良い。もっとどんどん出してほしい。

For those who like to interfere and trash works of PR specialists.

出版社: Three Rivers Press (2018/4/3)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0451496713

2018年8月16日木曜日

Helen Graham "The Spanish Civil War: A Very Short Introduction" [スペイン内戦:非常に短い入門]

1.スペイン内戦の起源 2.反乱と革命と抑圧 3.動員と生存:共和国の戦争 4.反乱スペインの成り立ち 5.包囲される共和国 6.勝利と敗北:戦後の戦争 7.歴史の価値

高校の世界史レベルでは、第二次世界大戦におけるスペインの立場が分かりにくい。フランコとかいう独裁者はファシストでヒトラーやムッソリーニと仲が良く、完全に枢軸国側でドイツやイタリアを支援していたが、なぜか法的には中立国ということになっており、ヒトラーとムッソリーニが排除された後も、フランコは普通に独裁を続けていた。で、何かよく分からないうちに民主化されて普通のEU加盟国みたいになっているというような…。スペイン人の話を聞いても、フランス人のレジスタンスの話を聞くようなもので、後から良いように言っているだけのようにも聞こえるし、曖昧な話が多い。日中戦争と同じで、実際の経験者が語りたがらないということが多いらしい。

そこでこの本を読むと、確かに要因が入り組み過ぎていて、誰がどっち側なのか難しい。基本的には共和国vsファシストという認識で、社会主義者・共産主義者・都市労働者は共和国側、農業地帯・カトリック教会はファシスト側と。当然地域差があり、クーデターが起こった直後に軍が掌握したのは基本的に田舎であり、マドリッド他の都会は共和国側。あと独立性の高いバスクなどは共和国側だが、共和国は中央集権を目指すので内部の軋轢がある。ドイツ・イタリアはファシストを支援して、これが戦争の行方を決定する。他方共和国にはソ連がついている。今から考えれば英仏が共和国を支援しないのは意味不明だが、この時期の英仏はなぜかヒトラーに妥協しまくっていて、オーストリアもチェコスロバキアもどんどん呑み込まれている。しかも、内政不干渉とかいう建前で、フランス国境などもほぼ封鎖されており、これではファシストに勝てるはずがない。ファシスト側としては戦争に勝つのは分かっているが、できるだけ戦争を長引かせて赤色分子を殺戮しつくすのがスペイン浄化の為に必要ということで、ゆっくり人を殺していく。結局、ヒトラー体制は打倒されるが、連合国軍の進撃はピレネー山脈で止まり、その後スペインはずっとファシストの支配が続く。

だいたい、歴史を学んでその国のことが好きになることは少ないが、これはなかなか酷い。スペインの場合、話の前提として中南米とアフリカで大量殺戮しているということがある。その巨大な植民地を失って行き場をなくした軍人が、近代化しようとするスペインを過去に引きずり戻した図になっている。当たり前だが、この本は共和国側に同情的な書き方になっており、ずっと悲しい感じで読むことになる。戦後、共和国側の住民は強制収容所や強制労働などに放り込まれて、善良なスペイン人は全員殺されたような印象がある。スターリンのソ連と同じで、近所の人の密告なども恐れないといけないし、当時の人たちが昔のことを語りたがらないのも分かる。孫の代になって実は祖父母が共和国側だったので殺されたことが判明するとかが普通らしい。スペインを脱出した共和国軍軍人がフランスのレジスタンスに参加したりパリ解放とかスターリングラード防衛で戦うとかいうようなエピソードもあるが、大多数のスペイン人のリアルではないだろう。

内戦時の記録は各地の政府の文書館や、カトリック教会の文書館などに残っているらしいが、公開が進んでいないらしい。探ったら誰が誰を殺したとか密告したとかいうことが判明して、やっかいなことになるのだろう。ファシストへのカトリック教会の貢献はこの本でも強調されているが、これも酷い話だ。スペインに旅行することがあったら、その辺りの内戦記念碑的なものばかり見ることになりそうだ。ともあれ、これでヘミングウェイの「誰がために鐘は鳴る」を読む準備ができた。

A sad history of Spain.

Oxford Univ Pr (2005/6/23)
英語
ISBN-13: 978-0192803771

2018年7月18日水曜日

Joachim Whaley "The Holy Roman Empire: A Very Short Introduction" [神聖ローマ帝国:非常に短い入門]

目次: 導入.神聖ローマ帝国とは何だったのか 1.ローマ帝国とドイツの王国:カールからオットー朝へ 2.中世盛期:ザーリア朝からホーエンシュタウフェン朝へ 3.中世後期の帝国:ハプスブルク家の勃興 4.近代前期の帝国(1):マクシミリアンI世から三十年戦争へ 5.近代前期の帝国:ヴェストファーレン条約から1806年へ 後書き.神聖ローマ帝国の遺産

神聖ローマ帝国は神聖でもなければローマでもないが、だいたいフランク王国からナポレオンがやってくるまでの中世近代のドイツの政治史。この辺りの歴史が分かりにくいのは、建前としては封建制で、ドイツの各地域というか各家の独立性が高く、それぞれが自律的に行政や同盟や戦争をやっている上に、その中のどこかの家の誰かが選ばれて皇帝になって、一応尊重されるという二重構造になっている。

しかも一応教皇の承認ももらいたいとか、しかし教皇領も奪いたいだとか、プロテスタントが出現したり宗教的な問題もある。地理的には西からフランス人が攻めてくるし東からトルコ人が攻めてくるし北からスウェーデン人が攻めてくるし南からイタリア人が攻めてくる。その上でスイスが独立したりハンガリーがもめたり、その他ハプスブルクだのルクセンブルクだのブランデンブルクだの内部の争いも絶えない。ハプスブルク家の時代になるとスペインも関与するしポーランドの王位も問題になり、とにかくヨーロッパの真ん中の国は大変だ。

この辺りのややこしく長い歴史を本書は丁寧に編年体で追ってくれていて大変勉強になる。これでも大筋に過ぎず、完全には程遠いのだろうけど、意外にこういう通史はあまりない気がする。少なくとも高校の世界史レベルでは何のことやらほぼ分からない世界だ。VSIなのでさして頁数もないが、かなり濃密な読書体験になる。調べ出せばキリがないし、世界史が好きな人の気持ちも少し分かってきた。面白いし、翻訳すれば世界史選択の高校生の必読書になると思うがどうか。とにかく、日本人が想像で作るドラクエ的なインチキヨーロッパ中世とは、こういう中央ヨーロッパ史であり、イギリスでもフランスでもない。

The best introduction to the history of the central Europe.

Oxford Univ Pr (2018/10/1)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198748762

2018年6月28日木曜日

Andrew F. Cooper "The Brics: A Very Short Introduction" [BRICS:非常に短い入門]

目次:1.BRICSを構想すること 2.議論の余地のある発明 3.歴史的な出発 4.一緒につるんでいるいること 5.新しい開発銀行の設立 6.社会ではなく国家の認知としてのBRICS 7.BRICSの留まる力

BRICSという概念はゴールドマン・サックスの発明らしいが、どうも今一つ盛り上がらない…というのも、この本でも説明されている通り、G8みたくlike-mindednessがあるわけでもく、互いに対立している部分もあり、本人たちが公式機関化を避けて目立たず行動する傾向があったりで、結局、投資信託の名称くらいでしか聞かないからである…。ただ、本書によると、それでも一応多少は集団として影響力を行使することがなくもないというのもあるらしい。国内においては大体が市民活動に対して弾圧的で、中国に至っては未だに一党独裁であり、G8の住人からすると懐疑的になるのはやむをえない。本書は各国の国内事情というより、国際舞台でのBRICSの振る舞いに注目している。G8みたいな共同謀議を行うような気もしないが、少なくとも今のところは一定の影響力はあるようだ。

A good introduction to the shadowy club.

Oxford Univ Pr (2016/7/1)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198723394

2018年6月25日月曜日

Renee White, Sylvie Bouvier "Barron's SAT Subject Test French" [Barron SAT主題試験フランス語]

以前も別のSATフランス語の問題集を読んだが、こっちのほうが質量共に比較にならないほど優れており、こちらを読めば前のは要らない。こちらはリスニングも大量にこなせる。

それはそれとして、特にリスニングについては解説を読んでも納得しかねる問題が多々あり、これはこの本の問題ではなく、SAT自体がそういうものなのだろう。日本の大学入試で同じようなことがあれば、非難が殺到するのは間違いない。レベルとしては、やはり単語が難しいことを別とすれば、仏検二級くらいのものだろう。あくまで試験問題集なので、別にこれでフランス語の勉強をするような趣旨の本でもないと思うが、こんなのでもしないとわたしの場合はフランス語力が上がらない。

Le meilleur livre pour SAT French.

Barrons Test Prep; 4版 (2017/9/1)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1438077673

2018年6月20日水曜日

Stephen J. Davis "Monasticism: A Very Short Introduction" [修道院生活:非常に短い入門]

目次:1.定義 2.差異 3.規則と社会組織とジェンダー 4.聖人と精神性 5.現実と想像の空間 6.現代世界での世界的な現象

一応、主題別の目次になっていて、比較宗教学・考古学・歴史学というようなことで、宗教としてはキリスト教と仏教がメイン。実際には、歴史的・地理的な修道院組織の博物誌くらいの感じ。色々あっても全制施設の運営はどこでも同じなんだろう。何なら軍隊とか病院とか刑務所でも大して変わらない気がする。わたしとしては、時々僧堂に入りたいと思うこともあったが、実際に入っていた人の話が口を揃えて言うのは、イジメもあれば仕事もあり、世間と何も変わらないらしい。そんなことなら同志の集うシェアハウスみたいなほうが良い気もするが、それはそれで運営が難しいんだろう。というような内部の社会学的な事態はこの本では論じられず、制度的な建前のほうの研究がメイン。

About one kind of total institutions.

Oxford Univ Pr (2018/4/1)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198717645

2018年6月19日火曜日

Yujin Nagasawa "Miracles: A Very Short Introduction" [奇跡:非常に短い入門]

目次:1.奇跡とは何か? 2.宗教的文書の中でどのような奇跡が報告されているか? 3.なぜこれほど多くの人が奇跡を信じるのか? 4.奇跡を信じることは合理的か? 5.超自然的でない奇跡はあり得るか?

基本的には宗教上、特にキリスト教の文脈での奇跡だか奇蹟だかを扱っている。奇跡の定義とか博物誌的記述を別とすれば、人間の心理バイアスとかヒュームの懐疑論など。奇跡の真偽には立ち入っていないが、著者が否定派でないことは明白に思われる。奇跡を認知しやすい人間の性向があるのだとすれば、奇跡が起こったと主張することで利益を得る性向とかもあるだろうし、こういうことなら宗教の起源とか奇跡の利用法などにも踏み込んでほしいところだが、多分、この著者には無理だろう。「ムー」とかを読むのとあまり気分は変わらない。

Many interesting cases of alleged miracles.

Oxford Univ Pr (2018/1/23)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198747215

2018年6月14日木曜日

Timothy H. Lim "The Dead Sea Scrolls: A Very Short Introduction" [死海文書:非常に短い入門]

目次:1.文化的アイコンとしての死海文書 2.考古学的現場と洞窟 3.文書と断片について 4.ヘブライ語聖書への新しい光 5.正典と真正な書と文書 6.誰が文書を持っていたか? 7.文書収集物の文献的構成 8.第二神殿時代のユダヤの分派 9.死海文書のコミュニティ 10.分派コミュニティの宗教的信念 11.文書と初期キリスト教 12.最も重大な手稿の発見

死海文書というタイトルでは素人向けに胡散臭い本も多いので、これを読むのが最も無難だ。学者からすると相手にするのもバカバカしそうな話も、本書では丁寧に反駁している。かなり読みやすく、ユダヤ教や中東の歴史に詳しくなくても問題ないだろう。クムランの洞窟から見つかった巻物の中には、後世になって旧約聖書に収録される前の状態の文書も含まれており、場合によってはそのせいで伝統的な旧約聖書が訂正されたりしている。文書の内容自体だけでなく、クムランの考古学的研究や一般的なユダヤの歴史も詳しく記述されていて、文献学と歴史学と考古学の融合はとても面白い。別にわたしはユダヤ教にもキリスト教にも思い入れがないが、だからこそ、純粋に娯楽として楽しめるのかもしれない。

念のため、基本的に死海文書はキリスト教(とかいうユダヤ教の分派)より前に、エッセネ派の所有していた文書ということになっており、キリスト教の信仰とは関係がない。ただし、初期キリスト教徒が読んでいた旧約聖書が、今の我々の読んでいる旧約聖書と少し違うとしたら、その限りでキリスト教徒にとっても問題になる。ずっと後のグノーシスの文書みたいな奔放な話もないし、使徒が人類と対立する的な話もなく、ただある時期のユダヤ教の一つの分派の生活や信仰などが解明されるだけだが、一般教養として知っておいていい。なぜ翻訳されないのか不思議だ。

The best introduction to the Dead Sea scrolls.

Oxford Univ Pr; 2版 (2017/5/1)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198779520

2018年6月7日木曜日

Jean-Claude "Noir" [黒]

例によって舞台はアメリカということになっている。正直言って、これは何度読んでも意味が分からない。まず画面が黒くて人物の判別に苦労する。あと時系列も狂っているのだろうか。また気が向いたらメモを取りながら読んでみるが、それとも難しく考えすぎているのか。ただ、おそらくこのマンガのポイントはストーリーではなく、例によってフランス人の考える50年代アメリカの雰囲気なので、ストーリーを解明できたとしても、あまり感心しないだろう。

Je ne comprend pas ce qui se passe.

Bdartiste (10 avril 2012)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2919243075

2018年6月3日日曜日

Craig Jeffrey "Modern India: A Very Short Introduction" [現代インド:非常に短い入門]

目次:1.希望 2.植民地インド:貧困化 3.植民地インド:宗教とカースト分割 4.インドを動作させる?1947-1989 5.インド再考 6.社会革命 7.若者

インド人がこれを読んでどう思うのかどうか分からないが、差し当たり、ものすごくバランスの取れたインドの記述に思える。歴史・社会・経済・文化・政治について満遍なく記述されていて、流行りのボリウッドや一昔前のサイババも省略されていない。もし何らかの理由で就職試験などでインドのことを問われるのなら、まず、この本を読むべきなのだろう。この一冊でだいたいわかったような気にもなるし、読み物として完全に成立しているので退屈はしない。貧富の格差も酷く、昔からある「貧しいインド」のイメージも間違っていないようだし、植民地としての歴史も人口ピラミッドの構造も日本とかけ離れていてなかなか面白い。わたしとしては、インドは、昔新聞を読んでいたくらいの知識で行ったこともないし、特にインド人の知り合いもいないが、問題山積みながら、未来のある国という印象だ。

It seems to me a very well-rounded and very balanced book on India.

Oxford Univ Pr (2018/2/1)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198769347