電子戦の技術(基礎編)ということで邦訳が出ているが、実際には、アンテナ・レーダーの動作原理とその妨害・欺瞞方法を概念的に解説するのが中心的なテーマである。アンテナやレーダーの基本原理を理解していれば、特に他の予備知識は必要ない。話として難しいわけではないが、民間人がレーダーの妨害を考えることはほとんどないし、ましてや欺瞞の必要性もない。その分、斬新に楽しい。もっとも、個人的には、この話は懐かしいという面のほうが大きい。みなさんもこの本を読んで画期的な電子戦術を発明すれば、自衛隊基地に数ヶ月間軟禁されるかもしれない。
そして、この本、EW102,EW103と続編もあるが、書いている内容が初歩的とは言え、特にコンピュータが入ると内容が直ぐに古くなるのは否定できない。Journal of Electronic Defenseでの連載は続いていて、今は赤外線の話をしているが、こういう内容なら古くならないのだが・・・。もちろん、本気で興味のあるムキはJEDの購読をお勧めする。
It explains basic ideas in electronic warfare. Readers are expected to have basic knowledge of the radar and the antenna, but easy to read enough.
Artech House (2001/02)
ISBN-13: 978-1580531696