タイトルから予想されるように、工業デザインを中心とした、わりとランダムな考察で、特に深みとか体系とかはない。いや、著者の中にはあるのかもしれないが・・・・。日本への言及も多いが、日本でシャワートイレが普及したのは、ビデを別に置くためには住居が狭すぎるからとか。いやまあ確かにそうかもしれないが・・・。
A random treatment on design.
Oxford Univ Pr (2005/9/22)
ISBN-13: 978-0192854469
タイトルから予想されるように、工業デザインを中心とした、わりとランダムな考察で、特に深みとか体系とかはない。いや、著者の中にはあるのかもしれないが・・・・。日本への言及も多いが、日本でシャワートイレが普及したのは、ビデを別に置くためには住居が狭すぎるからとか。いやまあ確かにそうかもしれないが・・・。
A random treatment on design.
Oxford Univ Pr (2005/9/22)
ISBN-13: 978-0192854469
ケインズの伝記少しと思想の変遷を追った本。本書の大部分は90年代、ケインズ経済学が終わったことになっていた頃に書かれているので、「終わったケインズ経済学の総括」みたいなスタンスになっている。今となっては話が違うのはエピローグにある通りで。ケインズというと、人格円満で聡明な活動家みたいなイメージしかなかったが、まあ、そんな完璧な人もいないということらしい。全然経済学の知識がない人が読むのは厳しいが、多少ともケインズに興味があれば、読んで損はないだろう。
An overview of Keynes's economic theories written when everybody thought "Keynensian economics is now dead".
Oxford Univ Pr (2010/11/23)
ISBN-13: 978-0199591640
これも読んだのは随分前だが、とにかくヴィトゲンシュタインの伝記の定番で、日本でもそこそこ読まれているらしい。生涯自体面白いし、そもそも時代背景が面白い。あいにくとわたしはヴィトゲンシュタインの哲学がそんなに面白い気がしていないが、ファンなら当然読むべきだろう。
A standard biography of Wittgenstein. Fascinating.
Vintage Books; New Ed版 (1992/10/27)
ISBN-13: 978-0099883708
レーガンの伝記込の、レーガンの政策の評価。well-balancedとか言われているが、レーガン政権に好意的なのはタイトルからも明らかだ。だいたいが、ベトナム戦争とかでグダグダになったアメリカに愛国心と自信を取り戻した保守派大統領といったところで、この本を読んでも大枠その印象は変わらない。一つ意外だったのは、レーガンにそんなに「バカ」の印象があるのかということだったが、G.W.ブッシュのせいで掻き消されているだけらしい。実際には、そんな極端な保守派でもないし、バカでもなかったということだが、まだ評価するのは早すぎる気もする。
A well-balanced or rather a positive account of Reagan presidency.
Oxford Univ Pr (T) (2009/7/30)
ISBN-13: 978-0195317107
タイトルからして謎だが、要は生物化学とか分子生物学とかいう話が中心のポピュラーサイエンス読み物である。従って、学問としての化学の入門書でもないし、工業化学の入門書でもない。ただ、面白い様々な分子が紹介されていくだけの気楽な読み物だ。やたら文芸作品からの引用が多い。個人的には化学という分野は詰んでいるような印象を持っていたが、こうして見ると、いくらでも創意工夫の余地もあるし、生物化学はまだ解明されていない謎が無限にある。
Good reading for a pop science.
Oxford Univ Pr (T) (2003/09)
ISBN-13: 978-0192854308
これは・・・かなり評判が良いようだが、どう考えても信者向けだろう・・・。筆者の立場ははっきりしていて、もちろん、一応歴史的な人物として四福音書を基本としてイエスを描写するという建前だが、歴史は単なる事実ではなく解釈であると言い切ってから始まっている。もちろん解釈を離れた歴史的事実なんかあるわけないが、わたしのような非信者からすると、やはり解釈に入りすぎている。ひとまず、イエスが行ったとかいう奇蹟とかを字義通り信じていないと、かなり引っかかりながら読むことになるのは間違いない。読みやすいのは事実だが。
I bet this book is for Christians.
Oxford Univ Pr (2011/8/11)
ISBN-13: 978-0199575275
これも一つのVSIの典型で「自分が自分の分野について普段考えているわりと壮大な色々なこと」を初心者向けと称してつらつら書いたもの。つまり、論文として傍証を固めて提示しようとすると巨大な著書になってしまうが、まあ、ラフに語る分には初心者にも面白いだろうというような。つまり、あまり教科書のように体系だったものではないが、個々の考察については、研究書ではお目にかかれない断言に満ちており、読みやすいし記憶にも残る。たとえばこの本によると西洋は一貫して専制を嫌っていて、それはギリシアvsペルシアの頃からそうなのだそうだ。全体的には特に構造はないが、政治史というか政治体制史というか政治思想史というか。
Miscellaneous thoughts about history of politics or political thinking. Not organized still interesting.
Oxford Univ Pr New Ed版 (2000/6/15)
ISBN-13: 978-0192853882
例によってタイトルが短すぎて意味が分からないが、著者は歴史学者で、主題は特に西洋史上の「魔女狩り」である。もちろん魔女自体は特にアフリカなんか今でもいるし、魔女=悪でもないので実際の考察の範囲はもっと広い。特に何か理論が提示されるわけでもなく、ランダムなエピソードと考察みたいな感じだが、基本的に話が上手く、非常に面白い。「魔女狩り」のイメージは人によって違うと思うが、時代と状況によって色々な様相があるようだ。たとえば、単なる異教の儀式がwitchcraftと呼ばれいるだけのこともあるし、純粋に政治上・党派上の理由で敵対者を魔女狩りしている場合もあるし、本当に人を呪い殺そうとした人が魔女狩りされている場合もある。まあ人を呪い殺そうとする人は別に現代日本にも普通にいるわけで、昔はもっといただろうし、見つかったら裁かれていた。わたしが一番興味を惹かれるのは集団ヒステリーというか、中央の権力が弱まった時の社会心理学的メカニズムだが、特に理論は提示されないものの、そういう例もことかかない。というか、わたしとしては、魔女狩りにかこつけた変なポストモダンなヨーロッパ近代論とかを読まされるより、これくらいの冷静なよもやま話のほうが学ぶことが多い気がする。これは翻訳したら売れると思う。
Miscellaneous talks about witchcraft or witch-hunting. It does not a unified grand theory, but fascinating. Honestly, I hate those profound theories like "to understand witchcraft is to understand modern Europe". I love Gaskill's candid way of presenting historical facts and brief overview of wide range of thinking.
Oxford Univ Pr (T) (2010/5/20)
ISBN-13: 978-0199236954
Elmやらashやらhazelやら、日本で言えば銀杏とか松とか杉とか、普通の木の図鑑。図鑑と言ってもwooden booksなので全部イラストだ。内容的に特に科学的でも文学的でもない。博物学的興味というか。
Descriptions and illustrations.
Wooden Books (2005/2/15)
978-1904263326
会計(学)の初歩の初歩。こう言っているわたしが日商簿記2級とBATIC Accountant Levelを所持していることを考慮しても、まあ、高校生でも読める程度だ。範囲としては、商業簿記・工業簿記の説明も浅くあるが、他にも財務諸表の見方とか監査の仕事とか歴史的転回とか国際的な基準(IFRSとか)をまんべんなく薄く解説。日本で言えば、「社長のための経理の本」みたいなのよりはやや学問的だが、レベル的には大して変わらない。個人的には、中途半端な解説書を読むより、単に日商簿記を取るほうが余程良いと思うが、まあ会計学をこれから学ぶと言う人は、こういう本も一冊くらい読んでおいて損はないかもしれない。
A general introductory guidebook for newbies of accounting.
Oxford Univ Pr (T) (2014/5/27)
978-0199684311
ある時期から急に「ビッグデータ」というbuzz wordが出現し、それに対応して書かれたような本だが、類書の中でも抜きんでていると思う。米国でも好評のようだ。何でもいいから一冊ということであれば、少しハードでも良ければ、この本を読むのが一番実り多いんじゃないかな。
この手の本の通例として「できるだけ数式は使わないで」という前置きが入るが、その割には結構数式が入り込んでいる。わたしとしては、こういうマネジメント向けに簡易化された技術書は大抵バカにしているが、この本については、数学力に自信がある・数式のほうが理解が速いという人でも読む価値があるだろう。というのも、データサイエンスは範囲が広くて、いずれにせよ全容を把握する本は一冊は読んでおいたほうが良いからだ。
反面、この本を読んでも素人が直ちに何かができるわけではない。ただ、データ分析専門家と相当程度の会話ができるようになるということだ。実際、この分野は専門家といってもいい加減なのが多いし、偽者を見分けるのも重要で、この本に書いてある程度の知識は必要だろう。数値処理に詳しい人間が、幅広いビジネスの視点から見て、有用なデータ分析をするとは限らない。むしろ有害な分析結果を持ってくることもある。
A must read regardless if you are a specialist or not. A great overview on a very vast field.
Oreilly & Associates Inc; 1版 (2013/8/16)
ISBN-13: 978-1449361327
人類というか、人類以前の猿人とか以降の人類に関する化石研究というか、化石研究史。VSIにありがちな話で、猿人とか原人とか旧人とか新人に関する事実というより、研究史という側面のほうが大きい。無理もないことで、読めばわかることだが、結局、何も分かっていないに近いからだ。そもそも生物の進化の仕組み自体よく分かっていないし、化石も数的に少ない。
A history of the study on fossils of earlier primates.
Oxford Univ Pr (T) (2005/4/30)
978-0192803603
アイルランド遺跡案内というか古代自然文化案内というか。あまり文学的説明はなく、ある程度アイルランドを知っているのが前提のようだ。固有名詞がバンバン出てくる割に説明が薄く(というかそんなに深い伝承があるわけでもないのかもしれない)、旅行ガイドみたいに考えてもいいのかもしれない。
A guidebook for Ireland.
Wooden Books (2008/3/20)
ISBN-13: 978-1904263623
単語集だけど、大学入試(SAT)レベルくらいだろう。大学レベルなら知っているべきだが、確かに微妙に気取った感じのする言葉が並んでいる気はする。語源・変遷も含めて解説がしっかりしているのと、用例が実際の使用例から採取されていて長いのが特徴だ。と言っても、薄い本だし、一節が短いので英語学習と思って気軽にお勧めできる。
I guess it is good for SAT or something like that. 101 words to sound pedantic, maybe.
St. Martin's Griffin (2011/11/8)
ISBN-13: 978-0312573461
名作とされているし短いし英語もそんなに難しくないと思うし、是非なく読んで損はないところ。わたしは好きだが、何も起こらないので退屈する人が多数いても不思議ではない。ハードボイルドとはこういうことだ。
You may find this novel boring, because nothing happens. But I really love it.
Arrow Books; New Ed版 (1994/8/18)
ISBN-13: 978-0099908401