第二次世界大戦中、イギリス軍の特殊部隊がギリシアの島に設置されているドイツ軍の要塞砲を破壊する物語。その筋では冒険小説の名作とされている。年末年始の休みに楽に読むのにちょうど良かった。
と言っても、わたしにとってはまず映画「ナヴァロンの要塞」の原作ということで読んでいる。映画は子供の頃テレビで、やはり正月に見たはずだが、記憶にあるのは三つのシーンしかない。多分最初のほうのナヴァロンの砲を撃つ時にドイツ兵が耳を両手でふさぐところと、最後の給弾装置で爆破装置が作動するところ、そしてドイツ軍に捕まったところでアンドレアが俺は関係ねえとか言って芝居をしてから反撃するところだ。この三つ目のシーンは、どう考えても小説より記憶の中の映画のシーンのほうが良い。主観を簡単に描写できるのが小説の利点ではあるが、ここではマロリーの主観を書くべきではなかった。
話自体は面白くてどんどん読めるのだが、色々疑問なフシがあり…。まず12インチの砲というのがそんなに巨大な気がしない。二門と言わずもっと設置できる気が。主人公たる特殊部隊の指揮官マロリーは世界トップのロッククライマーということで、山岳戦闘の描写がかなりあるが、多少登山に詳しければ、描写の薄みは感じる。全体に具体的にどういうことをやっているのかも分かりにくいところも所々あり、結局こういうのは映画のほうが向いているのだろう。そしてドイツ軍が間抜け過ぎる…というのは、話の都合上、仕方がないかもしれない。人が結構死ぬというか、言い訳しながらどんどん殺していくので、受け付けない人にはお勧めできない。チープというのは言い過ぎだが、少なくとも純文学ではない。
しかし、こうやってツッコんでいくのも本来は野暮なことだろう。難しく考えないで楽しければ良い。
It was a good reading for holiday seasons.
HarperCollins(2004/5/4)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0006172475