2019年1月20日日曜日

Thorstein Veblen "The Theory of the Leisure Class" [有閑階級の理論]

これは社会学の古典として必ず挙がる本だが、多分、先生方もそれほどプッシュせず、学生も読まないし、せいぜい就職試験とかで「ウェブレン‐有閑階級の理論‐誇示的消費」という連想だけ覚えているのが現実だろう。読んでみれば理由は明らかで、読みにくいとかムダにprovocativeというのは別としても、根拠不明の独断と偏見に満ち溢れていて、こんなのが社会学と思われては教育上問題がある。今の基準から言えばヴェーバーもデュルケムも酷いという話もあるが、これについては学問と言えるレベルではなく、せいぜいが文明批評というしかない。

ただまあ、それでも今のところまだ名著と呼ばれている理由も分からなくはない。たとえば、今の世で「品が良い」と言われるようなものは、要するにムダに使える閑暇か財力を表現するようなものであるというような主張がある。こういう断言は、根拠を示して正しいとか間違っているとかいうような命題ではなく、単に一つの見方の提示で、今の学界では排除されるのかもしれないが、しかし無意味な命題でもない。そして、現代の階級制度について冷笑的な分析を行っているが、マルクス主義的では全くない。

そういうことでは、今ならブルデューを読んでおけば上位互換の気もするし、わたしとしては、ボボの100語を強く推奨したい。あえてこの本を強く推奨しないが、こういう本を読んで引用して閑暇を誇示するのも一興かもしれない…。有名な本だし、読んで損したとは思わないし…。

A nice book to read to show off your abundant leisure.

Blurb (2019/1/9)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0464712701

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