2014年6月8日日曜日

Christopher Nobes "Accounting a Very Short Introduction: A Very Short Introduction"

会計(学)の初歩の初歩。こう言っているわたしが日商簿記2級とBATIC Accountant Levelを所持していることを考慮しても、まあ、高校生でも読める程度だ。範囲としては、商業簿記・工業簿記の説明も浅くあるが、他にも財務諸表の見方とか監査の仕事とか歴史的転回とか国際的な基準(IFRSとか)をまんべんなく薄く解説。日本で言えば、「社長のための経理の本」みたいなのよりはやや学問的だが、レベル的には大して変わらない。個人的には、中途半端な解説書を読むより、単に日商簿記を取るほうが余程良いと思うが、まあ会計学をこれから学ぶと言う人は、こういう本も一冊くらい読んでおいて損はないかもしれない。

A general introductory guidebook for newbies of accounting.

Oxford Univ Pr (T) (2014/5/27)
978-0199684311

2014年5月13日火曜日

Foster Provost, Tom Fawcett "Data Science for Business"

ある時期から急に「ビッグデータ」というbuzz wordが出現し、それに対応して書かれたような本だが、類書の中でも抜きんでていると思う。米国でも好評のようだ。何でもいいから一冊ということであれば、少しハードでも良ければ、この本を読むのが一番実り多いんじゃないかな。

この手の本の通例として「できるだけ数式は使わないで」という前置きが入るが、その割には結構数式が入り込んでいる。わたしとしては、こういうマネジメント向けに簡易化された技術書は大抵バカにしているが、この本については、数学力に自信がある・数式のほうが理解が速いという人でも読む価値があるだろう。というのも、データサイエンスは範囲が広くて、いずれにせよ全容を把握する本は一冊は読んでおいたほうが良いからだ。

反面、この本を読んでも素人が直ちに何かができるわけではない。ただ、データ分析専門家と相当程度の会話ができるようになるということだ。実際、この分野は専門家といってもいい加減なのが多いし、偽者を見分けるのも重要で、この本に書いてある程度の知識は必要だろう。数値処理に詳しい人間が、幅広いビジネスの視点から見て、有用なデータ分析をするとは限らない。むしろ有害な分析結果を持ってくることもある。

A must read regardless if you are a specialist or not. A great overview on a very vast field.

Oreilly & Associates Inc; 1版 (2013/8/16)
ISBN-13: 978-1449361327

2014年5月1日木曜日

Bernard A. Wood "Human Evolution: A Very Short Introduction"

人類というか、人類以前の猿人とか以降の人類に関する化石研究というか、化石研究史。VSIにありがちな話で、猿人とか原人とか旧人とか新人に関する事実というより、研究史という側面のほうが大きい。無理もないことで、読めばわかることだが、結局、何も分かっていないに近いからだ。そもそも生物の進化の仕組み自体よく分かっていないし、化石も数的に少ない。

A history of the study on fossils of earlier primates.

Oxford Univ Pr (T) (2005/4/30)
978-0192803603

2014年4月22日火曜日

Hector McDonnell "Holy Hills and Pagan Places of Ireland"

アイルランド遺跡案内というか古代自然文化案内というか。あまり文学的説明はなく、ある程度アイルランドを知っているのが前提のようだ。固有名詞がバンバン出てくる割に説明が薄く(というかそんなに深い伝承があるわけでもないのかもしれない)、旅行ガイドみたいに考えてもいいのかもしれない。

A guidebook for Ireland.

Wooden Books (2008/3/20)
ISBN-13: 978-1904263623

2014年3月24日月曜日

Mignon Fogarty "Grammar Girl's 101 Words to Sound Smart (Quick & Dirty Tips)"

単語集だけど、大学入試(SAT)レベルくらいだろう。大学レベルなら知っているべきだが、確かに微妙に気取った感じのする言葉が並んでいる気はする。語源・変遷も含めて解説がしっかりしているのと、用例が実際の使用例から採取されていて長いのが特徴だ。と言っても、薄い本だし、一節が短いので英語学習と思って気軽にお勧めできる。

I guess it is good for SAT or something like that. 101 words to sound pedantic, maybe.

St. Martin's Griffin (2011/11/8)
ISBN-13: 978-0312573461

2014年3月12日水曜日

Ernest Hemingway "The Old Man and the Sea"

名作とされているし短いし英語もそんなに難しくないと思うし、是非なく読んで損はないところ。わたしは好きだが、何も起こらないので退屈する人が多数いても不思議ではない。ハードボイルドとはこういうことだ。

You may find this novel boring, because nothing happens. But I really love it.

Arrow Books; New Ed版 (1994/8/18)
ISBN-13: 978-0099908401

2014年2月23日日曜日

Harry Collis "101 American English Proverbs"

アメリカの諺101選。一ページ一諺だが半分はイラストで残りに使用例。まあまあ面白い。この手の本には多少とも「こんなの聞いたことないよ」みたいなのが含まれているものだが、この本についてはそんなことはほとんどなかった。知っていて損のない諺ばかりで、たとえば英検一級を目指しているとかなら、全部知っていないとダメだろう。

All ESL students must know these 101 proverbs.

McGraw-Hill; 2版 (2009/1/23)
ISBN-13: 978-0071615884

2014年2月22日土曜日

Harry Collis "101 American English Idioms"

タイトル通り、アメリカの慣用句(最後のほうはただの諺だったりするが)を101個集めたもの。一つにつき一ページだが、ページの大半をイラストが占めており、数行実例があるくらいで読むのが楽。まあ、あまり自分で使うのは危険かもしれないが、アメリカ人の会話を理解するには必須だろう。

A good book for ESL students.

McGraw-Hill; 2版 (2007/2/12)
ISBN-13: 978-0071487726

2014年2月21日金曜日

Kenneth O. Morgan "Twentieth-Century Britain: A Very Short Introduction"

政治・経済・文化・社会などから見た普通の学校的二十世紀英国史。短いので面白いところが随分飛ばされている恨みはあるが、英国に興味を持って英語を勉強している人などにも良いと思う。

For British people this book may be too short, for us non-native English readers, this is a very good introduction to the topic, I guess.

Oxford Univ Pr (2005/8/11)
ISBN-13: 978-0192853974

2014年2月19日水曜日

Michael Newman "Socialism: A Very Short Introduction"

社会主義の理論・歴史の解説。理論は常に歴史とともに発展しているので、別々に解説されているわけではない。個人的にはキューバとスウェーデンの例は興味深いところだが、理論重視の人は退屈するようだ。いろいろ考えるところはあるが、社会主義の考え方も政策のレパートリーの一つとして持っておいて損はないというのが妥当なところだろう。社会主義だけでやっていけるわけじゃないのは明白だが、資本主義の考え方だけでやっていけるほど世界は単純でもないし。

A good introduction to socialism. After all, as more options we have and less dogmatic we are, better we manage.

Oxford Univ Pr (2005/9/22)
ISBN-13: 978-0192804310

2014年2月16日日曜日

Rana Mitter "Modern China: A Very Short Introduction"

清末期以降から胡錦濤くらいまでの現代中国史。前半は普通の政治史で、後半は、社会・文化・経済などの各方面の解説。日本語でこういう本はムダに感情的に重くなるし、もちろん中国共産党公認の歴史を読む気にもならないので、VSIだと楽に読める。もともと中国情勢に関する情報は、検閲があるため、英語で読むのが一番という評判である。この本は、面白いし、それなりにバランスも取れているのだろう。ただし、日本人から見ると、チベットやウイグルの問題や、日本を含めた東南アジア各国との領有権問題などについて全く触れられていないのは気になるところではある。どっちにしろ、本を出版しただけで逮捕されたりするような国には住みたくないものだ。この本にしても、中国国内では読めるのかどうか。

A good introduction, though I notice the absence of important themes such as Tibet, Uyghurs, territorial conflicts with south-east Asian countries.

Oxford Univ Pr (2008/4/7)
ISBN-13: 978-0199228027

2014年2月5日水曜日

Bill Wilder "Cloud Architecture Patterns"

クラウドネイティブなシステムを開発する時の基本技術の概説。読みやすい。クラウド特有の問題を広く扱った基本書・教科書と言っていいだろう。例示にWindows Asureが使われているが、この件についてはあまりこだわる必要はない。個人的にはあまりこういう話に下位レベルまで触るようなことは避けたいが、まあ知っておくにこしたことはない。

A very authentic resource for cloud-native developments.

Oreilly & Associates Inc (2012/10/5)
ISBN-13: 978-1449319779

2014年2月4日火曜日

Kaplan "KAPLAN SAT FLASH"

大学入試対策用の600枚のカードだが、1/3が算数・1/3が文法・1/3が単語。おそらく算数は日本で言えば中卒くらいで問題なく、アメリカの大学入試のレベルの低さに衝撃を受ける。文法もTOEICより簡単なくらいではないか・・・。もちろん、この点については、ネイティブが間違える文法と日本人が間違える文法が全然違うということがある。我々としては、単語カードが最も重要だが、通常のSAT用の単語集よりかなり易しい気がした。少なくとも、わたしとしては、知らない単語はほとんどなかった。もっとも、TOEICよりは遥かに難しいが、英検一級には遠く及ばない感じ。自分で単語帳を作る手間すら惜しむようなわたしのような人種には最適だ。

1200 cards included. 400 math cards: too easy for Japanese high school. 400 grammar cards: for natives, maybe OK. for us, a bit too easy; foreigners do not make this sort of mistakes. 400 vocabulary cards, great.

Kaplan Publishing; 4th版 (2011/11/2)
ISBN-13: 978-1609781125

2014年2月3日月曜日

Stephen Mumford, Rani Lill Anjum "Causation: A Very Short Introduction"

「因果関係とは何か」という件についての形而上学入門書。ヒューム・カントあたりから始まり、途中でアリストテレスなどに逆戻りしたりするが、基本的には突っ込みどころの多い説の検討をして次の説に移るという感じでまんべんなく各派閥が紹介されている。最終的にはベイジアンネットワークにまで進んでいる。因果関係は、形而上学の中でも最も収拾のつかない領域と言え、現に因果関係を表す論理記号とか電子回路もないわけだが、その分それほどテクニカルじゃないところで考えることも多いし、哲学の入門書としても良いのではないかと思う。特に最後の確率統計的な解釈のあたりは、理系の人でも深く考えることがあるのではないかと思う。

Well written. So organized as possible. It is still messy chiefly because the subject itself is messy. The authors guide through main schools.

Oxford Univ Pr (T) (2014/01)
978-0199684434

2014年1月31日金曜日

Annie Heminway "Better Reading French, 2nd Edition"

これはフランス語の読本として英語圏では絶賛されているようだ。主題・難易度が多彩な多数な文章を収録し、それぞれ内容的・文法的に気の利いた問題が付属、最後に解答例もあるので独習も可能であり、ほとんどこの種の本の完成形と言っていいのではないか。レベルはさまざまではあるが、仏検2級とかDELF B1くらいのレベル。一応一通り文法を終えたくらいなら着手できるだろう。

とはいえ、個人的にはやはりこういう読本の類は苦手で、専門書のほうが楽ではある。しかし、こういう一般的フランス語力もつけたほうがいいのかねえ。

A very good reader. Perfect.

McGraw-Hill; 2版 (2011/10/6)
ISBN-13: 978-0071770293