Les Berbères (Amazon.co.jp)
ベルベル人と言われても何のことか分からない人も多いと思われるが、フランス語やフランス文化を学ぶ人は「マグリブ」という謎の地名と共に必ず聞く話である。大雑把にはマグリブとはアフリカ北部の地中海沿岸地域で、ベルベル人は主にその辺りに住んでいる民族ということになるだろうか。ただ漠然とした印象では、当人たちがあまり民族という概念を尊んでいる感じがないし、あのあたりの通例で部族という概念のほうが強いのだろう。だいたいがイスラム教徒で、ベルベル諸語と言われるような言葉が話されていたりする。…というくらい。
で、正規のフランス語のコース教材みたいなを勉強していると、このマグリブとかベルベル人という概念がやたら出てくる。一応「先住民族」みたいな扱いもあり、「多様性を尊重する」とかいう流れの中で、公式な出版物ではかなり紙面面積を取る。本人たちがあまり民族性を主張していないのに、フランス政府が無理矢理一つの民族という枠にハメている感じは否めないが…。とにかく、今の価値観が「全人類を対等の権利を持つ民族集団に区分して各集団に平等にリソースを割り振る」ということになっているから仕方がない。
そういう背景があって、フランス文化の勉強をしているとあちこちで散発的にマグリブ文化の話を聞かされるが、結局ベルベル人というのが何なのかということになるとまとまった記述がない。あるとしたらこの本が第一と思われる。この本自体は教科書的というか公式的で読み物としてそんなに面白くないと思うが、散発的に聞いている話がまとまる感じはある。
QUE SAIS JE (1 mars 2017)
Langue : Français
ISBN-13 : 978-2130792833
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