2012年10月20日土曜日

Claudio Tuniz "Radioactivity: A Very Short Introduction"

放射線科学の概説書。もちろん、核兵器とか原発とか人体への悪影響の話もあるが、特にそういうテーマに重点があるわけではない。その部分に関しては、普通の日本人はこの本に書いてある程度の知識は既に備えているだろう。他に医療や農業や非破壊検査など、放射線の利用は多岐にわたり、ページ数を一番割いているのは、地質学の話であった。この辺りは、ほとんど放射線と関係のないようなことまで詳しく解説されており、ムダに人類史に詳しくなる。今から七万年前、人類は数千人だったとか・・・。もちろん、年代測定で一々放射線が活用されているということなのだが、何の解説なのか分からなくなる時もあった。個人的には、IAEAが水資源探査に随分資源を割いているのがイマイチ理解できていなかったが、ようやく合点が行った。

というわけで、フクシマがどうとか、核テロがどうとかいう話にのみ興味があるムキにはお薦めしない。もっとも、ベクレルとシーベルトの区別がつかないとか言う人は、この本くらいから放射線の基礎知識を勉強する手もある。放射線の応用範囲の広さもよく分かるし、扇情的な解説書より読むのが楽だ。

A brief overview of applications of radioactivity. A great part is dedicated to earth science. Bad effects on the human body and nuclear power plants are mentioned but not extensively, though if you do not understand the difference between Bq and Sv for example, you might want to study first this book. Applications include agriculture, medical uses, nondestructive inspection and water resource search.

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