今頃こんなのを読んでいるのは、今読んでいる本がこの本に色々言及していて、ちと興味が湧いたから。なお、今読んでいるほうの著者についても、この本は色々言及していて、高く評価している。ベストセラーになった時に読まなかったのは、あの頃は金融市場の失敗を論う本が多くてウザかったのと、Popular Mathというか、特に統計学関係についてはうんざりしているから。だいたいが、「リスクは飼い慣らせる」というバカみたいな主張か、「統計学者はウソつきである」みたいな少しは面白い逆の主張であり、この本は後者だが、純粋に統計論としては、特に目新しい内容はなかった。ただ、ポパーとマンデルブロをそんなに高く評価するのは意外だ。そんなに言うのなら調べようと思う。
しかし、この本がウけているのは、そんな技術的なところじゃなくて、自己啓発書みたいな読まれ方をしているんだろうと思う。金融工学が詐欺なことは今では誰でも知っているが、徹底的にコキ下ろされる。分かりやすさのために話は戯画的に単純化されており、スーツを着た高給取りの正規分布原理主義者が徹底的にバカにされる。読者は大いに溜飲を下げ、気分も明るくなるが、生活は何も変わらないというような・・・。
とにかくベストセラーだから読んで損ということはない。"black swan"は一般名詞になっているし。だいたい、経済学を学び始めたころに誰でも素朴に思うのは「前提条件が多過ぎる」ということだが、どっぷり浸かっていくうちに、それを忘れてしまうようだ。こういう本はたまには売れないといけない。そして、また、そのうち忘れられるんだろうとは思う。それとも、著者が考えるように、この世はどんどんblack swanが増えていて、忘れたくても忘れられなくなるかな。
A multi million seller. There are two types of popular math book. On the one hand there are so many dull books that stipulate that we can manage risk. On the other hand there are a bit more interesting books that stipulate that statisticians are liars. This book falls in the latter category but I doubt it is also read as a sort of self-help book. Anyway perhaps partly owing to this book now we all know that computational finance is a big fraud. We mock well-dressed Wall-Street experts, feel good, and do not change our way of life.
0 件のコメント:
コメントを投稿