2011年12月25日日曜日

Pascal Gauchon, Jean-Marc Huissoud "Les 100 lieux de la géopolitique"

戦略的に重要な地点と、地域紛争のある地点を挙げまくる本。日本に関しては、千島列島・竹島・尖閣諸島など。もちろん、日本列島そのものがロシアや中国の外洋展開を防いでいる意味もあり。一つ一つについては説明がそんなに詳しいわけではないけど、資料性はまあまあ。

なお、フランスの本なので、amazon.co.jpとかでは普通には買えない。amazon.frとか。

100 locations strategically important or where conflicts are going on. Descriptions for each location are not so detailed. However very concise and perfect for a reference.

2011年12月13日火曜日

Scott Adams "Dilbert: 2012 Day-to-Day Calendar"

これはわたしが毎年買って職場で愛用している日めくりカレンダーだけど、考えたら、Dilbertについて一切書いたことがなかった気がするので、この際書いてみる。


Dilbertは、平日3コマ(日曜は多少長い)という、アメリカの新聞では普通にあるパターンのマンガで、オフィス、特にIT業界の「あるある」ネタを得意とする。と言っても、こんな言い方では魅力を表現しきれない。マンガ自体は、公式サイトでいくらでもタダで読める。

http://www.dilbert.com/

さらに、著者Scott Adamsは文才もあり、文章だけでも笑わせてくれる。blogも有名だ。"Steve Jobs"にも取り上げられていたね。

http://dilbert.com/blog/

わたしが初めてDilbertに接したのは、日本でもよく売れたらしい"The Dilbert Principle"「ディルバートの法則」からだ。



残念ながら日本語訳は図書館等で探すしかないが、原書は今でも普通に入手可能だ。ついでに、ディルバート本に共通の特徴で、翻訳が素晴らしかった記憶がある。時代的には「マーフィーの法則」が流行したころだった。それに対抗してオフィス・IT業界のあるあるネタを、自分のマンガを大量に引用しつつ描写。今読んでどうなのか知らないけど、初めてDilbertの世界観に触れて衝撃だった。アメリカのIT土方が"cubicle"に住んでいるというのも、これで初めて知った気がする。なにより、笑った。

この成功に気を良くしたらしく、また翻訳がでた。"The Dilbert Future"「ディルバートの未来予測」。


これも笑った。細部は覚えていないけど、「基本的に未来は予測できないが、唯一絶対に変化しない定数は『人類の愚かさ』であり、この予測だけは間違いない」という命題はキッチリ覚えている。そして、その通りだと思う。もちろん大量のマンガの引用あり。それから"Joy of Work"。

これは残念ながら翻訳が出なかったし、原書も絶版か。いたずら"prank"集みたいな感じだった。やはり笑える。そして、次の"Dilbert and the Way of the Weasel"は笑えるのももちろんだけど、それだけにとどまらない秀作。

これは、オフィスにおける言い逃れとか、「微妙に不誠実」「ズルい」行動を大量に収集してあり、なぜ社会学学会がこの著作に賞を出さないのか、理解に苦しむ。"Weasonable doubt"という言葉が印象に残った。シンボリック相互作用論とかエスノメソドロジーとかエスノグラフィーとか労使関係とか経営とか、その辺りのことに興味がある人は読んで損にはならないと思うんだけど。

その後、Scott Adamsの文章本としては、"God's Debris"というのがあったんだけど、無視した。理由は、まあ、趣味というか・・・。Dilbert本とは毛色が違うようだ。ほかに、マンガの編纂本(compilation)は一杯出ているけど、マンガは最初に言った通り、全部Webでタダで読めるということがあり、それでも十冊以上は買ったと思うけど、最近は買っていない。

今でもDilbertはIT業界のmust-readだが、最近はxkcdもmust-readだ。

http://xkcd.com/

こっちも本が出てるけど、やはりWebで全部タダというようなことで。そう言えば、xkcdを日本語訳しているサイトを見たことがあるけど、翻訳がデタラメで酷かった。ついでに、ちょっと気に障るのは、Dilbertは自虐IT土方だが、xkcdはリア充な空気が濃厚だということ。

2011年12月6日火曜日

Micheal Mosley, John Lynch "The Story of Science: Power, Proof and Passion"

全般的な科学史だけど、わりと面白エピソードが多いのがポイントだ。ただし、ソースが全然書いていないので、もしも学校などで話そうと思っているのなら、一々自分で裏を取る必要がある。疑わしいのもあるし。ちなみに、邦訳は表紙から全部著者の綴りを間違えている。あまり信用できない気がするね。

Full of fascinating episodes from the history of science, though lacks necessary citations.


Steve Wozniak, Gina Smith "iWoz: Computer Geek to Cult Icon: How I Invented the Personal Computer, Co-founded Apple, and Had Fun Doing It"

この本を放置していたのは、昔からわりと一貫してAppleが好きでなかったのと、サブタイトルが残念な感じがしてたから。もっとも、わたしが知っているAppleというのは、最初のMacintosh以降なんで、Wozがあまり関与していない部分だ。つまり、control freakなところが嫌いだったわけで。Wozはそういう文化の人間ではない。

それはともかく、Wozが神である理由が良く分かる。天才というのはこういう人のことを言う。しかも偏屈者だったり冷たい人だったりするわけではなく、太った内気で陽気なアメリカ人だ。ただ、ある程度コンピュータというかハードウェアを勉強した人でないと分からない部分も多々あり、意味不明の書評が出回る原因になっている。というか、なんでわたしがWoz神の説明を理解できるのか、自分でも奇怪だったが、思い起こせば、わたしも元々はこんなことをしていたのだった。この本を読むべきなのはそういう人で、サブタイトルが想定しているような一般人ではない気がする。

I am not a big fun of Apple but all I know about Apple is Apple after the first Macintosh, which is not a Woz's product anymore. He is a genius and I am happy to be able to understand his explanations. There are some parts which a layman would find difficult to understand in this book.