2010年2月28日日曜日

The Great Depression and the New Deal (Oxford Very Short Introductions)

大恐慌の始まりから戦後ブレトンウッズ体制が築かれる間の物語。筆者は「デフォルメ」と言っているが、学術的な記述というよりは物語。たとえば、NHKが七日シリーズでドキュメンタリーを編集したら、こんな感じになるだろう。決して楽しい話ではないし、昨今の経済事情も思い合わされて、色々考えることもあるが、こんなことを繰り返しながらも資本主義でやっていくしかないんだろう・・・。感情や評価コミで、状況を語っていくが、巻末の立法リストは資料性もあり。現代の経済政策を考える人にとっても、これくらいが最低限の基礎知識ではないかと思う。

2010年2月13日土曜日

Loneliness: Human Nature and the Need for Social Connection / 孤独の科学

わたしはこの本はKindleに入れているが、今日、日本語翻訳を発見した。アメリカでは相当売れているようなので、翻訳が出るのは当然だけど、日本でも売れるんじゃないかと思う。

遺伝子がどうとか、人類の進化の途上でどうこうとか、ちょっとした実験の紹介だったりがあって、体裁としては、よくある心理学の本だ。厳密に考えると憶測が多過ぎて科学としてどうよとか思うのは心理学の常だけど、それでもこの本は読む価値があった。

第一にポイントになるのは、孤独感が人の心理・生理にどういう影響を与えるか。「そんなこと言われなくてもだいたい分かってるよ」と思うけど、それでもあらためて鬱になるくらいの話だ。

第二のポイントは、孤独から抜け出すためのアドヴァイス。これは各所に散りばめられているが、要するに、「人を助けることを考えろ」ということだろう。これも書いてあるけど、不幸な人、孤独な人は、自分の不幸さに囚われていて、人を助けるような余裕がないと考えがちだ。だが、自分の不幸を棚に上げて人を助ける方向に行く以外に救いはない。

それ以外のこと、たとえば、実験の結果どうだったとか、進化の過程で孤独感がどういう役割を果たしたかとかいう話は、正直あんまり感銘を受けなかった。けど、人によっては、説得力を感じるだろうし、結論の真実さに変わりはない。

誰でもこの本から得るものはあると思うけど、特に孤独な人にとって、この本は、一つの方向に一歩踏み出すキッカケになるかもしれない。



2010年2月12日金曜日

Oxford French Cartoon-Strip Vocabulary Builder

フランス語の語彙強化のためのマンガ、ということだけど、マンガ自体、なかなかクオリティが高い。普通にフランス語の新聞に乗っていても不思議ではない。同じマンガで、ドイツ語・スペイン語もあるみたいだけど、多分、フランス語がオリジナルだろう。なんかそんな気がする。

左ページにマンガ、右ページに語彙の説明が載っている。語彙は、むちゃくちゃ初歩的な単語まで解説されている。文法的には、多分、接続法はなかったと思う。ただ、それでも、一通り初級文法を終えているくらいでないと苦しいだろう。文法の説明はほとんどない。それを考えると、単語は少し易し過ぎるし、勉強になったのかどうか分からないけど、とにかく面白かったから良しとしよう。

2010年2月5日金曜日

The Ultimate French Review and Practice

フランス語の初級段階を終えた人が文法事項を確実にするのに使う。とにかく量があるので、覚悟を決めた人にお勧め。実際には、これくらいは当然としてやらないと、日常会話ができるようにはならない。英語圏でも、しっかりフランス語をやりたい人なら、練習問題集としては、この本が第一の選択になる。

CD-ROMは、わたしの環境では、VISTAでは動作しなかったし、XPでもアクサンが出なくて、実際には使い物にならなかった。また別の環境でも試してみるけど、CD-ROM抜きでも、十分に価値がある本だ。

Postcolonialism (Oxford Very Short Introduction)

まず、このタイトルでは何のことか分からない人もいると思う。簡単に言うと、反植民地主義、反帝国主義、反黒人差別、反多国籍企業、反グローバリズム、環境保護・・・。人名で言うと、もっと分かりやすくて、カストロ、ゲバラ、ファノン、サルトル、毛沢東・・・。

皆さんの周りにも、こういうのが好きな人がいて、大抵は団塊の世代で、わたしがあんまりこういう話が好きでないのは、多分彼らのせいだ。実際問題として、今となっては、彼らの主張は紋切り型でしかなく、彼らが当てにしていた社会主義とかはご覧の有様だし、何より暑苦しい。しかし、依然として差別意識は白人の中では未だに強力で、平気でイラクやらアフガニスタンやらを爆撃し続けているのだから、こういう話を素通りばかりしているわけにもいかない。

そこで、一冊こういう本を読んで置くのは良い考えだと思う。文学的というか、感情に訴えようとする部分が大きく、その意味でも期待を裏切らない。