目次:1.ブランドの勝利 2.ブランドとは何か 3.ブランドの歴史 4.ブランドはどのように作用するか 5.ブランドビジネス 6.ブランド事業 7.ブランドの倫理 8.ブランドの未来?
ブランドをめぐる商売、特に広告業界のあれこれ。類書と違うのは、ブランドが客に対してもつ効果のほか、従業員に対してもつ効果についても紙幅をさいている。自社製品に自信があるなら、製品に自社名を明示するはず、と考えるので、わたしも元々ブランド品には興味があった。たとえばIntel Insideみたいな広告はこの範疇だが、この本が考えるブランドは、そういう古典的な枠を超えて、漠然としたイメージ、例えばHonda="The Power of Dreams"とか雰囲気的なところに中心がある。
LVMHみたいな高級ブランドでなくても、ブランド商売の裏側を見るのは勉強になる。折しも某区立小学校の標準服がアルマーニに監修されたとかで問題になっている。この小学校が銀座というそれ自体がブランドみたいな場所にあるわけで、校長がバカで、制服もブランド品にしたかったのだろう。個人的には、銀座の路面店はアルマーニ以外にもっといい趣味の店もあるし、是非ユニクロに監修してもらうべきだった。このように、消費者もムダにブランドに振り回されているので、業界の裏側をこの本で知っておくのは自衛のためにも重要だ。特段衒学的なところもなく、気軽に読める本だ。就職活動にも会社のブランドが影響する、というのはこの本の中心的な主張の一つだが、特にブランド性の高い会社や広告業界に就職する学生は読む価値がありそうだ。
それはそれとして、この本を読んだ収穫の一つは、Superdryという世界的なブランドを知ったことだった。日本に触発されたデザインが売りとかで、商品にはJapanとか書いてあったりするが、実際には製造元は日本と全く関係がなく、というか、日本人はそんなブランドを知りもしないし、書いてある日本語はほとんどデタラメだし、謎の簡体字だったりするが、日本以外の全世界で売れているらしい。本書の説明では、ハーゲンダッツが北欧と何も関係がないように、Superdryも日本と何も関係がないが、ブランドというものは雰囲気なので、それで成立しているらしい。面白過ぎるし、高級ブランドには違いないし、物自体はしっかりしているから、早速発注した。
I am a native Japanese speaker and I have never heard of the brand "Superdry". Japanese letters on their products are pretty bizzare but they have strangely ironical appeal to me. Their strange Japanese letterings might irritate some Japanese people, but I find that very amusing.
Oxford Univ Pr (2017/8/1)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198749912