目次:1.簡単な歴史 2.測定とは何か 3.物理科学と工学における測定 4.生命科学と医学と健康における測定 5.行動科学における測定 6.社会科学と経済学と商業と公共政策における測定 7.測定と理解
測定全般を薄く広く扱っているが、熱が一番あるのは知能指数や物価指数みたいな、社会科学である程度の統計解析が必要なところだ。恐らく、この辺りが著者の本領なのだろう。つまり、「長さ」や「重さ」みたいに、現実世界に確固としてあるものを正確に測定するというところではなく、測定行為自体が測定対象を構築するような分野に重点がある。統計哲学的にも面白い分野だ。
反面、「メートルの定義」みたいな理科的な話も少しあるが、内容は薄く、多分、別の本を当てるべきなんだろう。また、工業的な意味での測定・測量や、品質管理で問題になるような測定などにはほとんど触れられていない。基本的には社会科学の分野で測定という行為にまつわるあれこれを論じている部分が熱い。
例えば、世界の大学のランキングみたいな話は定期的に話題になるが、一体大学の性能をどうやって測定しているのか。もちろん、様々な指標を組み合わせて適当に算出しているが、指標を設定自体が測定対象を歪めるということがある。たとえば、指標のために大学を最適化する動機が作用するし、単純なインチキ、たとえば燃費不正計測みたいなこともある。
わたしが特に面白いと思ったのはその辺りだが、誰が読んでもそれぞれ面白い部分を拾えると思う。個々の分野については物足りない部分もあるが、全体的に読みやすい。
A good reading. The best part of this book deals with measurements in social sciences.
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