目次:1.多項式の導関数 2.連鎖の規則、積の規則、商の規則 3.三角関数の導関数 4.指数関数の導関数 5.対数関数の導関数 6.二階導関数 7.極値 8.極限とロピタルの規則 9.多項式の積分 10.定積分 11.三角関数の積分 12.指数関数と対数関数の積分 13.多項式置換による積分 14.三角関数置換による積分 15.部分積分 16.多重積分
世界的に評判の良い初歩の微積分の問題集。わたしはこれ以上に簡単な微積分の本を見たことがない…というのは、普通の微積分の導入で語られる面倒な理論的背景は完全に省略されている。つまり「すべての正の実数εについて」みたいな面倒くさい話が一切なく、ただただ微分と積分が機械的にできればよろしいというようなことだ。例えば最初からax^bの導関数はabx^(b-1)であるみたいなところから始まり、なぜそうなるのかの説明は一切ない。
解答はうっとうしいくらい丁寧で、簡単な式変形も省略しないで全部書いてあるし、正解の表記が何通りもある場合は全部書いてある。今の日本の高校の数学がどんなものか良く知らないが、この程度の微積分は高2くらいではなかろうか。相当数学が苦手な人でも「そこまで書かなくていいよ」と言って大半を読み飛ばすと思われる。
一つ、この本の明確な特徴として、三角関数として正弦・余弦・正接の他に普通に正割・余割・余接を使っている。裏表紙に本書に必要な公式が全部乗っているが、例えば∫secθdθ=ln|secθ+tanθ|+Cなどというのは公式扱いであり、説明はない。まあ右辺を微分すればすぐに分かることではあるが。
この辺りは好みなのかもしれないが、わたしはsec, csc, cotは使うべき派であり、tan^2θ+1=1/(cos^2θ)よりtan^2θ+1=sec^2θのほうがどう考えても覚えやすいと思うし、こういう本でもっと普及すればいいと思っている。
あと最大の特徴として、この本はworkbookということで、問題の一つ一つに対して余白があって、答を書き込めるようになっている。つまり別途紙を用意しなくていいということだが、これは人によっては利点かもしれない。この結構な余白と異様に丁寧な解答のせいで、ページ数のわりに問題数は少ない。
そんなわけで、この一冊で「微積分は全部片づけた」とは到底言えないが、多分、この本は昔勉強した微積分を思い出すためにやる人が多いんだと思う。わたしについては微積分は全然忘れていないが、とにかく試験であまりに計算間違いが多いので、算数ドリルと思って暇な時にやって三日で終わっている。知らないことは何もないのだが、やっぱり計算間違いはするもので、少し自分が勘違いしやすいポイントは分かったかもしれない。
Very good for revision.
Zishka Publishing (2018/8/16)
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-1941691243
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