業務的に微妙にフランス法に関わっているので読んでみたが、別にこれで入門できるわけではなく、門外漢向けの教養読み物みたいに割り切っているのがQue sais-jeがVSIと違うところだ。仕事でもなければ手にも取らない本だが、"Parabole du douzième chameau"の冒頭だけ翻訳してみる。
12頭目のラクダの寓話
死期が近いことを感じた父は相続を確定することにした。11頭のラクダを三人の息子に分けなければならない。長男は遺産の半分を受け取り、次男は1/4を受け取り、三男は1/6を受け取ることになった。父の死後、分割が数学的に不可能であることが分かった。息子たちは案件をカーディ(イスラム法の裁判官)の元に持ち込んだ。少し考えた後、カーディは言った。「わたしのラクダを1頭連れて行って、遺産の分割が終わったら返してください」。息子たちは12頭のラクダなら分割が可能(長男が6頭、次男が3頭、三男が2頭)なことに直ぐに気が付き、直ちに12頭目のラクダを返した。
この話、なんか子供の頃に読んだことがあるような気もする。本書ではこの件についてクリエイティブな司法だとか何だとか情緒的な話をしている。本書にはこの他に寓話として"Sentence du juge Ooka"(裁判官大岡の判決)も取り上げられていて裁判官も社会の一員だのなんだのと。そんなわけで、元々日本とフランスでそんなに法体系が違うわけでもないので、フランス語ができるがフランス法に深入りする必要のない法学部の学生などが読むには良いが、そんな人はほとんどいないだろうな…。もちろん、リアルにフランスに住むとかフランスと交易するとかいうようなことで真剣にフランス法を学ぶのなら、こんなものを読んでいる場合ではない。あと、どうでもいいけど、OokaじゃなくてOookaにしないのかね。
Ce livre n'est pas très pratique, mais assez intéressant.
PUF(2018/1/1)
言語:フランス語
ISBN-13:978-2130809685
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