目次:1.統計的有意性入門 2.検定力と検定力の足りない統計 3.疑似反復:データを賢く選べ 4.p値と基準率の誤り 5.有意性の間違った判断 6.データへの二度漬け 7.連続性の誤り 8.モデルの濫用 9.研究者の自由:良い兆候? 10.みんな間違える 11.データを隠すこと 12.何ができるか?
特に医学を中心に統計の誤用・誤解を論う本で、基本的に科学者・学生に向けて書かれている。統計学者の苦言みたいな話は類書も多い所だが、わたしが知る限りでは最善だと思う。分野を問わず、統計を扱う分野なら全大学生が読むべき本だ。ただ、基本的な統計学の知識はあることが前提になっている。ほとんど数学は使われていないが、たとえば、p値がどうやって算出されるかみたいな話は知っていることが前提だ。医学の知識は別に必要ではない。統計に無関係な人はいないと思うし、できれば一般人にも知ってほしいことばかり書いてあるが、ちとハードルが高いかもしれない。しかし、マスコミの統計などを疑うにしても、この程度の知識はあったほうが良い。
個人的には、医学統計という件では、健康食品の類の評価が毎年ひっくり返る件とか、コレステロール論争とかでうんざりしているのもあるが、この本のせいで、ますます信用する気がなくなった。それはそれとしても、統計学というのは非常に面白い分野だ。統計というもの自体が人間の直観に反するものなのだろう。別にこの本に書いてあることで初耳な事は少ないが、題材などは非常に面白い。統計検定1級を取るつもりだが、ますますやる気が湧く。
「ダメな統計学」ということで日本語訳も出ている。amazonの書評で翻訳に文句を言っている人もいるが、パッと見たところ、そこまで問題のある翻訳とも思えない。訳注が付きまくっているようだし、確かにかなりウザい感じはあるが、別に日本語訳でも読んでもいいと思うが…。
A must-read for all college students. There are many books on the same subject, but I guess this one is the best.
No Starch Pr (2015/3/16)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1593276201
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