2016年10月1日土曜日

Stella Z. Theodoulou, Ravi K. Roy "Public Administration: A Very Short Introduction" [行政:非常に短い入門]

目次:1.現状の外観 2.ウェストファリアからフィラデルフィアへの旅 3.世界的な進歩主義的改革 4.現代の福祉国家の勃興 5.世界に広まる新公共経営 6.新しい行政の時代 7.グローバリゼーションとネットワーク・ガバナンスの勃興 8.行政の未来

福祉国家の勃興からケインズ経済学の繁栄、さらに新自由主義(New Public Management:NPM)の逆襲からネットワーク・ガバナンスへの思想の変遷史と未来の展望を描く。冒頭から「なんでも民営化したらええんとちゃうぞ」みたいな結構現状批判みたいなことから始まっていて、その方向で期待したが、意外に淡々と話は進み、ちょくちょく著者の意見は出ているが、終着点としては流行りのネットワーク・ガバナンスみたいなところ。

予想していたより技術的・具体的な話には入らず、基本的には経営思想というか風潮の変遷を追っている。「小さな政府」だの「官から民へ」だのというスローガンが蔓延していた時代はまだ記憶に新しいし、年寄りは未だに「民間だったら許されないぞ」とか役所の窓口でヤカラ飛ばしているようなことで、その意味では、日本でもこういう変遷は身近に感じられる。一般論が多いし、例が提示されても欧米の話ばかりで、日本の話はほぼない。アメリカの政府負債がこのままでは維持不能とか言っているが、この著者たちが日本のことをどう思っているのか不明だ。とは言え、非常に基礎的な話ではあるので、これから政治や公務員を目指すような人は、この程度の話は把握しておいてほしいところだ。英語も別に難しくないし、高級官僚を目指すならこの程度の英語力も必要だろうな…。

A good introduction to public administration, recommended for those who want to be bureaucrat or public servant, despite of despise of citizens.

Oxford Univ Pr (2016/10)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0198724230

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