目次:1.箱が作った世界 2.ドックの渋滞 3.トラック運転手 4.システム 5.ニューヨーク港をめぐる戦い 6.組合の解体 7.標準設定 8.離陸 9.ベトナム 10.嵐の中の港 11.好況と不況 12.巨大化と複合化 13. 荷主の逆襲 14.ジャスト・イン・タイム 15.付加価値
全然知らなかったが、日本語訳「コンテナ物語」も出てそこそこ売れていたらしい。わたしは貿易も多少関与したことがあり、貿易実務検定とかも取っていたこともあるし、運輸業界の調査をしていたこともあるけど、直接的には規格に関係するところは実務的にも参考になるかと思って読んでみた。
この本の中心的な主題は、コンテナの発明後のコンテナの規格化が各方面にどのような影響を及ぼしたかだ。直接的な規格争いもあるが、わたしが良く知っているようなIT業界のソフトウェアの規格争いとはスケールが違う。わたしがなじんでいるような業界では、規格が対立してればとりあえず両対応にしておくかで済んだりするが、コンテナはそうはいかない。まず関係者が海運のほか港湾・トラック・鉄道・飛行機・荷主等々多いし、船や港湾などの固定設備にかかる金額が全然違うし、実際、多くの都市が規格のせいで興亡している。荷役が省力化されて労働組合が戦うところも詳しく描写されていてうんざりするが、対応を間違えて衰退する港もあるし、一度失敗してハブ港になれないと、港湾設備の建設には巨費がかかる事から、ほとんど挽回できない。
取材はしっはりしているし、読みやすく物語形式で書かれているから、特に海運・港湾・貿易関係の人は、一度読んでおくと面白いと思う。別にこれを読んで仕事が捗るわけではないが、この業界の今昔も振り返れて面白い。
A great storytelling based on a great coverage of information including interviews to elderly people of this industry of transportation.
Princeton Univ Pr (2016/4/5)
言語: 英語
ISBN-13: 978-0691170817
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