複雑系、特に複雑適応系(CAS)の概略。対象としては言語・生態系・市場など、ツールとしてはグラフ理論・マルコフ連鎖などが例示されているが、数式は出てこないし、どのみちあまり深みもない。創発性とか対称性の破れなどがテーマになっている。一つにはこの分野がまだ手探りの初期段階というのもあるだろうけど、もしかするとこの著者の語り方が下手なのかもしれないと疑う。どうも複雑適応系の形式的なモデル化を目指す方向の説明らしいが、多くの話が機械学習とか人工知能とかで聞いたようなことだ。ただ、最終章で現状のその類の研究がCASを取り扱うには力不足であることを明白に示しているわけで、確かにそれ以上の話ではあるらしい。まあ「複雑系」と名のつくpop scienceみたいな本は日本語でもあるし、ちとそういうのと比較しないと、この本の評価はできないが、個人的には、あまり面白くない本ではあった。
Complex systems, especially CAS are explained. But for me, it did not provide new insights....
Oxford Univ Pr (2014/09)
ISBN-13: 978-0199662548