ISBN-13: 978-0199551545
Oxford Univ Pr (2009/9/21)
日本語で共産主義というタイトルの本があったとすると、教義の面倒くさい解説を想像するし、英語でcommunismというタイトルの本があったとすると、共産主義政権下で庶民が如何に苦労したかという憂鬱なエピソードを想像する。実際The Soviet Unionはそんな感じだし。しかし、この本はそういう話も少しは含むが、基本的には共産圏の政治経済史だ。ロシア革命~ソ連崩壊、中国の繁栄まで、共産圏をテーマごとに横断的に解説。こんな話に誰もが納得する中立的な記述なんかあるはずがないが、わたしには十分冷静なように思えた。
こういう本を面白がる理由の一つに、そもそもわたしに世界史の知識が欠けているということがあるのかもしれない。何となくソ連と中国があまり仲が良くないのは知っていたが、何となく東欧はソ連が全部一枚岩の圧政を敷いているような気がしていた。実際には、ブロックの中でも色々齟齬があって、全部が全部ソ連の言うことを聞いていたわけでもないようだ。ワルシャワ条約機構がチェコに侵攻した時、ルーマニアは侵攻を拒否した。アルバニアやユーゴは、ソ連の助けなしに共産党が政権をとっているのでソ連の言うことを聞く義理がない。ソ連がアフガニスタンに侵攻したのは、現地の共産主義が酷過ぎるので穏当な共産主義をインストールするためであった。ベトナムがカンボジアに侵攻したのも同じことであった。
そんなことは常識だというような人には、この本は初歩的過ぎるかもしれないが、わたしとしては非常に面白かった。現に日本のごく近くに、未だに共産主義政権が約二か国ほど存在しているのだから、日本人的には勉強しておいて損はないだろう。歴史以外にも共産主義政府の運営方法なども易しく解説されている。それにしても、冷戦期というのは面白い。The Cold Warも面白かったし。
I know that the term "communism" has a very bad connotation in anglophone countries. Calling someone a "communist" may constitute a slander. In Japan, the situation is a bit different. Japanese intelligentsia tend to be left, as in Latin-America and maybe, in France. And now, as Holmes maintains, neo-liberalism has lost its legitimacy, one of Japan's communist neighbor is prospering, and the other neighbor is becoming more and more dangerous, we should know how communist thinking work.
Though there is no way to write on this theme so that everyone finds neutral enough, I found this book is well level-headed. It is not a simple anti-communist propaganda as is often the case with English books on communism, though it does not praise communism, either.
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