2012年3月13日火曜日

Edwin H. Sutherland "The Professional Thief"

これも二十年前に読んだ本。初めて英語で学術書を全部読んだというので記憶に残っているだけではなく、単に面白かった。

サザランドは現代犯罪学の礎を築いた一人で、"differential association"「分化的接触」の理論で有名だ。この説によると、犯罪というのは単独の精神異常者が起こすのではなく、犯罪を良しとする集団(地域とか親族とか友達とか)があり、そこで学習されるという。当時からギャングはいたわけだし、普通に穏当な見解に思われるが、当時としては画期的だったらしい。当時の普通の考え方としては、犯罪者は単なるバカとか悪とか遺伝とか人種とか、あるいは逆に単なる合理的経済行動だとか労働者の闘いだとかいうことになっていたんで、普通の見方というのは、なかなか難しかったようだ。その後、サザランドは"white collar crime"「ホワイトカラー犯罪」という言葉を導入し、研究を進めていくがそれはともかく。

この本は、とある実在の"thief"(窃盗犯でいいと思う)とサザランドの合作で、職業盗賊のリアルな生活を描いている。といっても、戦前のアメリカの話なんで、いかにも大らかで、普通に銀行強盗とかが成り立っているし禁酒法とか言っている。そんな話が好きなら、多分、映画より面白いだろう。後半になってサザランドの解釈とかの部分になると、これは社会学の学生とか研究者向きということになるが・・・。

で、読み終わってレポートとか提出した後で、教官に「翻訳が出てるよ」と言われた。詐欺師コンウェルとかいうタイトルだったが、アマゾンでは見つからない。

From my college days. It was so interesting, even if you are not interested in sociology at all. A thief in good old days in America.

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