日本の仏教教団、特に禅宗の戦争責任を追及する本。
・・・というと狭すぎるけど、その上で、「もともと禅の教義自体に殺人を肯定する要素があるのではないか」という問いが立てられている。まあ昔から武士道とか剣道とかと禅がリンクさせられているし。
この話をどう考えるかは別として、こういう本を外人が書くしかなかったのは、情けない気もする。日本語訳の訳文の評判がよろしくなく、わたしとしても、決して好きなタイプの訳文ではないけど、この本に関しては日本語文からの引用が多く、敢えて英語で読むのはお勧めしない。意味的に特に気になることはなかった。つか、正直なところ、著者の主張より、引用のほうが遥かに重要だし。
高徳の僧侶とされている人が、政治経済社会科学等について、あり得ないほど無知なことを言って、がっかりすることは多い。その最たる分野がこの辺りのところだろう。禅僧が全員剣の達人でないのと同様に、社会的にバカでも仕方がないとは一応言えるが、この本が問うているのはそんなハイレベルなことではなく、仏教と道徳の関係だ。つまり、殺人に反対するのには、仏教の不殺生戒だけで十分だったはずだというようなことで。
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