2018年3月9日金曜日

H. G. Wells "The Island of Dr Moreau" [モロー博士の島]

有名な作品なので今更ネタバレにもならないとは思うが、獣人を作っている博士の支配する島に辿り着いた主人公の冒険。予想を越えることは基本的に起こらず、特に前半のオチの見えている逃走劇のあたりはどうするのかと思ったが、読み終えてみると、確かに名作だったとは思う。

獣と人ということでは、わたしの第一のイメージは「けものフレンズ」なんだけど、時代が違う以上に、獣と人を峻別するキリスト教文明が違う。昔からヨーロッパには獣人の伝統があるが、そこには可愛さの要素が全くなく、殺伐としている。映画化も何回かされているようで、現代の遺伝子工学を予見していたとかいう話になっているが、単に怪奇ブラックユーモアと理解している。ただ、獣と人が融合するのに恐怖を感じるためには、特定の文明に属している必要がある気もする。その点の恐怖感が、Wellsの意図通りにはわたしに伝わっていないだろう。

ここまでThe War of the WorldsThe Invisible ManThe Time Machineを読んだけど、Wellsは面白い話をするおじさんだ。作り話で金をとるというのはこういうことだと思う。そのうち全作品を読んでしまうかもしれない。

Hilarious. But I recommend you "Kemono Friends". It is still better.

Alma Classics (2018/5/31)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1847496591

2018年3月7日水曜日

Marie-France Hirigoyen "Le harcèlement moral au travail" [職場のモラルハラスメント]

職場でのいじめに関する統計や背景や対策など。わりと公式的な話で、この辺り、フランスだから日本より進んでいるのかもしれないが、わたしとしては、正直な所、フランス語の語彙を拾う以外に特に価値はなかった。日本で実用的な話なら、メンヘル検定のテキストでも読むほうが良いかも知れない。わたしはII種を取ったが、特に実務経験とかが無くても取れる。

La même chose au Japon.

PRESSES UNIVERSITAIRES DE FRANCE (29 janvier 2014)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2130624790

Jacques André "Les 100 mots de la sexualité" [性愛の100語]

早い話がセックスにまつわる100語について、文学作品の一節から引用したりしたエッセイ集みたいなものだが、精神分析が軸になっている点がどうか。わたしは精神分析を趣味の悪い文学の一ジャンルとしか思っておらず、実際、ここでも話を詰まらなくしている気がする。科学的な話はほとんどなく、かと言って実用的なアドバイスでもなく、ポルノでもなく、初耳な話もなく、ただ筆者の思いつきみたいな文学的思索集。多分、ここから妄想を養うのが最も楽しめる読み方だと思う。創作的な人の資料にはなるのかもしれない。わたしはというと、特に変な性癖もないが、まあ、こういう人たちもいるよね、くらいな。

Juste pour passer le temps.

Presses Universitaires de France (9 février 2011)
Langue : Français
ISBN-13: 978-2130582861