目次:1.力と圧力 2.力学と回転 3.音と波 4.熱 5.光学 6.電気 7.地球 8.天文学 9.原子と物理 10.素粒子と量子
『物理が分かる実例計算101選』ということで翻訳書も出ている。色んな事象について物理の公式に則って概算する本。一時期、本屋のビジネス書の棚にやたら「フェルミ推定」という言葉が並んでいたことがあるが、元々フェルミが推定するのが得意だったのはこういうことだったんだろう。
101も計算があるので、一つ一つは比較的短いし、それぞれ独立している。実のところそんなに意外な計算はないが、しばらく物理から離れていた人には懐かしいだろう。実際大学の授業でも使われているらしい。ただ、pop scienceの常で、理数寄りの一般人を面白がらせることができたとしても、これで物理が分かるようになるかどうかは甚だ疑問だ。項目にもよるが、高校生~大学生程度の物理の知識は必要かもしれない。目次からも分かるようにかなり分野が広いので、復習になる。わたしは工学系の勉強をしているので、計算には慣れているが、純粋に学問として物理学をやっていた人には新鮮かもしれない。
学問として物理学をやっている分には現実の数字を計算することは少ないし、工学でも有効数字が4桁を越える事は稀に思う。唯一、測量士の試験は有効数字が6桁くらいあった気がするが、こんなのは例外だろう。そう考えると、現実の計算は、この本でやっているような有効数字1桁くらいの世界で済むのかもしれない。他方、簿記3級は12桁の電卓が必須であり、最後の一桁でも間違えたら大問題である。そう考えると、理系は文系より数字に圧倒的に弱いと言わざるを得ず、こういう本で僅かでも補正するべきなのかもしれない。
A good overview of physics through real calculations.
Johns Hopkins Univ Pr (2003/5/30)
英語
ISBN-13: 978-0801872631
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