世の中には「奇書」と呼ばれる本が多数あり、あまり感心したことがないが、これこそ奇書ではないだろうか。個人的にはこれ以上の奇書に出会ったことがない。簡単に言うと[0, 1)までの八桁の実数の逆引きである。例として裏表紙に書いてある例だが、
- 0.93371663 → 2log((e+π)/2)
こんな調子で大量の数値が載っているから例なんか他にいくらでもあるが
- 0.23318249 → 8*x^2+5x-6=0の解の一つ(の小数点以下8桁)
- 0.88869591 → 10^(4√2-3√3)(の小数点以下8桁)
- 0.30275578 → ln(√2)÷ln(π)
- 0.91457357 → 2e/3-π/3の3乗根の一つ
世の中には眺めているだけで楽しい数学辞典は色々あり、たとえば分厚い積分の公式集なんかは実際に役に立ったこともあるし、統計分布の辞典なんかも楽しいが、この本に関しては、わたしが実用する機会がほとんど想像できない。実際には、この本が役立つ人は世の中に結構いて、何かしらの数値解析に携わっている人は、この本によって数値から事態を把握できることがあるらしい。誰でもわたしと同じように衝撃を受けるのかどうかは謎だが、わたしとしては単に円周率を印刷しただけで奇書を気取っているようなのとは次元が違うように思う。真面目な数値解析の人にも役に立つのだろうが、例えば、株価の予測をしている人なんかは使わない手はないように思われる。ちょっと説明不能な感銘を受けた。
This is the most strange book I have ever seen. I can imagine that to some people this book is very useful and very time-saving. Still, My amazement does not part me. Very impressive and amusing.
Springer (2011/12/30)
英語
978-1461585121