目次
- 1. なぜ税があるのか
- 2. 課税の構造
- 3. 誰が担税するのか
- 4. 課税と経済
- 5. 脱税と執行
- 6. 税政策の諸問題
なかなか面白くてわりと一気に読んだ。多分、日本の大学なら「租税原論」みたいな話かもしれないが、そこまで堅苦しくなく、特に予備知識も必要ない。特定の国の税金事情についてではなく、公平性と効率性の対立を軸としつつ、租税に関する一般的な原理的な話が主だ。データはOECDからのものが多い。
3章の税負担の帰着の問題や4章の死荷重の問題は経済学部なら初歩的だが一般にはあまり理解されていないところ。他にも色々面白い論点があるが、生活必需品(食品など)の消費税率を下げるのが色々な意味で得策でないという議論には、なかなか啓発された。税の実務などには全く役立たないが、税制の設計なんかについては色々考えさせられる。個人的な事情として、勤め人のわたしとしては、自営業の彼女が何かと領収書をためているのを「なんだかなあ」と常に思っているわけだが、この事態は日本に限ったことではないらしい。さらにどうでもいいが、今年はわたしも医療費控除が発生するので、同じように領収書を溜めるハメになっている。まあ、そんなことでもなければ、普段は税金のことなんか意識にも登らないわけだが・・・。経済学の学生のほか、税金について何か強い思いがある人、たとえば「消費税は逆進的でけしからん」とか「サラリーマンは損をしている」とか思っている人は読んで損はない。
Theories and policies of taxation, told chiefly in regard to the dilemma between efficacy and equity. Very readable and fascinating.
Oxford Univ Pr (2015/06)
ISBN-13: 978-0199683697
0 件のコメント:
コメントを投稿