1920年代までのロシア革命の概説。政治だけでなく、経済社会文化面でのボルシェビキの政策と人々の暮らしも詳しい。色々あって惨憺たる歴史だ。しかし、彼らが何を目指して、何を間違って、何に成功したのか学ぶべきだろう。第一次大戦でボコボコにされた後進専制君主国では、他にどんな選択肢があったのかもよく分からないが・・・。合わせて読みたい"The Soviet Union"と"Russian History"。
だいたい団塊の世代は左翼だし、わたしたちもコルホーズとかソホーズとかがまるで優れた制度であるかのように教えられてきた気がするが、もっと上の世代は、少なくとも庶民レベルでは反共であるように思う。というのも、我々がソ連の実情をリアルタイムで知っていたように、彼らもロシア革命の結果をある程度肌で知っていたからなんだろう。おおざっぱには「統治されているのに不満を持った下々の労働者が革命を起こして自分たちで統治しようと試みたが、なにぶん下々の者は資本家たちのように大局的見地に立てないので自滅した。資本家も労働者もそれぞれの役割があるのだから、それぞれの役割を果たすことに専念せよ」みたいな話で、正直なところ、この本を読んでいると、この意見に同意するところもある。日本でも「お前は額に汗して働く労働者か」ということで、人格を判定する風があったらしいが、ソ連は国家レベルでそれをやっていたのであり、実にゾッとする。少し金持ちな風を見せると近所の人にチクられて強制収容所送りなんて期間が何十年もあったわけで、政治というのは恐ろしいものだ。
というのがわたしの感想だが、人それぞれ様々な教訓を得るだろう。革命をどう考えるにしても、色々考えることの多い本ではあった。今時、共産主義革命を起こそうなんてムキも少ないし、そろそろ冷静に社会主義革命の何が良くて何が悪かったのか、考え直しても良いころだ。
An excellent account of the revolution. There are few people trying to cause a socialist revolution, so now we can assess the socialism in more balanced ways.
Oxford Univ Pr(2002/5/16)
ISBN-13: 978-0192853950