2014年9月2日火曜日

Martin Luck "Hormones: A Very Short Introduction"

日本語で言うと「内分泌学」とか言うのだろうか。最初に概要と歴史、最後に今後の展開がある以外は、各系統のケーススタディ。生殖・血圧尿関係・骨カルシウムの代謝・脂肪食欲関係・甲状腺ホルモンの作用・サーカディアンリズム関係。わりと淡々と説明している感じだが、非常に面白い。というのも、普通の人が考えているよりホルモンの生成・作用が遥かに複雑だからだ。いわゆる「心」というものは神経によって構成される電気回路を中心に考える傾向があるが、実際には神経と密接な関係のある化学物質によって気分感情が影響を受けるというか、むしろそっちのほうが心と考えるべきなのかもしれない。全身の細胞は神経によって作用に影響を受ける部分もあるけど、ホルモンの影響のほうが遥かに大きくて複雑なのであり、感銘を受ける。

それはそれとして、特にOxford Very Short Introductionsを読んでいると、つくづく日本の新書は知的レベルが落ちたなと感じる・・・。まあ、数も増えたが・・・。特にこういう医学関係だと、ここまで高水準な本は新書ではまずないどころか、あからさまな疑似科学本を結構な出版社が出している有様で、むしろ単にこういう本を翻訳したほうが良いと思う。売れないのかもしれないが・・・。

A great introduction. Chiefly comprised of several areas(axis) of hormonal mechanisms. Impressive.

Oxford Univ Pr (2014/09)
ISBN-13: 978-0199672875

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