この本の解説をする前に「バックギャモン」の何たるかを説明せねばならぬ。
「バックギャモン」は数千年の歴史を持つとか言っているが、要は双六で、日本では奈良時代から遊ばれていた。囲碁並みに単純なゲームだから、ルールがそんなに違ったはずがない。おそらく、「枕草子」や「徒然草」に出てくる「双六」と、今の「バックギャモン」に大した違いはないと思われる。当時からそんな描写があるが、なかなか熱い深遠なゲームだ。
ルールを覚えるだけなら、どうせ単純なものだし、無料で落ちているソフトを適当にプレイしていれば大体分かる。ついでにGNU Backgammonなどはゲームを解析してくれる。とは言え、ある程度本気で解析結果を理解するには、一冊くらい何か読んで考え方を理解する必要がある。この辺りはオセロに似ているが、オセロではコンピュータの手が人間の理解を越えているのに対し、バックギャモンは一応理解可能だ。
というわけで、この古式ゆかしい伝統遊戯を習得したいと考えると、日本語の本では日本バックギャモン協会編『バックギャモン・ブック』しかない。しかし、残念ながら、『バックギャモン・ブック』は読みやすいとは言えず、バックギャモンの普及に貢献しているというよりは、妨害している気がする。さらに、amazon.co.jpに、あからさまに不自然なキモいレビューが多い。仮に内容が素晴らしかったとしても、この点については、こだわらざるを得ないであろう。
チェスでもそうだけど、どのみち、日本語の解説はカタカナばかりで読みにくい。さらに、こういうマイナーゲームは、日本語圏では村社会の空気で気後れがする。最初から洋書を読むべきだが、とりあえずこの本は無難なところだろう。定評があるし、読みやすいし、勉強になった。一つ文句があるとしたら、ダブリングの説明は後回しにしたほうが良かった。ダブリングは1920年代に発明されたもので、それ以前の数千年は、そんなのなしでも、世界中で禁止令が出るほど楽しまれていた。さんざん遊んでから、ダブリングを学んでも遅くない。ダブリングの導入によって、途端に戦略上の計算が面倒になる。不合理な点がないので、麻雀の点数計算とは比較にならないほど簡単だが、囲碁程度には面倒だ。さらにトーナメントになると更に難しくなるが、幸いにしてこの件は最後に回されている。ていうか、ボードゲームの常で、いくら考えても切りがない。
この本を読んだだけでバックギャモンの達人になるわけではないが、少なくとも、「単にルールを知っている」程度の人に負けることは、ほとんどなくなるだろう。サイコロがあるので、絶対というわけにはいかないが・・・。たとえば、オセロで同じような本を一冊読めば、初心者にはほぼ絶対に負けないと思われるが、そこまでの差にはならない。しかし、麻雀よりは率がいいはずだ。ルールも単純だし、小学生くらいから余裕で始められる。だいたい、こういうのは子どものうちに覚えてしまうのがよろしく、小学校の先生などは、算数の勉強にもなるので、是非習得して指導されたい。
Nice book, though I never read another book on backgammon. Now I can play against GNU backgammon in my spare time. I would prefer if the explanation on "doubling" were put in the last part, because backgammon is fascinating even if there were no doubling cube.
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