日本語訳もまあまあ売れているのだろうか。近頃は本屋に行くとFIREとかが流行ったりして見分けのつかない投資本が大量に平積みされていて、この本もその中に埋もれている。そうやって平積みされている本にはギャンブル本も多いが、中には真面目な本もあり、バカの一つ覚えみたいにインデックスファンドと言っているが、この本はどちらからも距離を取っている。と言っても結局著者もインデックスファンドなんだけど、個人の状況も違うし過去と未来は違うしみたいなレベルの話もしている。
例えば、バブルが生じるのは参加者が不合理だからではなく、短期投資者が増えるからであって、短期投資者にしてみればバブルに乗るのは全く不合理ではないと。ただ、これに長期投資者が巻き込まれると長期投資者が割りを食うみたいな話でしかないらしい。あまり他の本で読まない話だ。
ただ、本書の大半は倹約しろとか誇示的消費は無意味とか足るを知れとか複利の力とか黙って待てとか、まあ、普通の話と言っていいだろうか。タイトルは心理学と言っているが、例えばカーネマンやタレブみたいな常識を超えることは書いていない。実用性で言えば、別にわたしには特に足しにならないが、ある程度まともなFPみたいな本に退屈している人にはいいだろう。エピソードとしては面白い話はいっぱいあるので、クビになるかどうかの面談を待つヒマつぶしにはちょうど良かった。
For those who are bored by sane financial advisers but not insane enough to go into gambling....
Harriman House Pub (2020/9/8)
言語: 英語
ISBN-13:978-0857197689