2016年5月11日水曜日

Peter Molnar "Plate Tectonics: A Very Short Introduction" [プレートテクトニクス:非常に短い入門]

目次:1.基本的な考え 2.海洋底拡大と磁気異常 3.破砕帯とトランスフォーム断層 4.海洋リソスフェアの潜り込み 5.リソスフェアの固いプレート 6.大陸のテクトニクス 7.どこから来てどこへ行くのか?

地磁気の話を読んでいたので、そのつながりで手を出しただけだが、予想外に面白かった。わたしとしてはプレートテクトニクス≒大陸移動説+地震くらいに思っていたところ、この本では、大陸の地殻変動も結構詳しく語られる。とはいうものの本書は基本的にはプレートテクトニクスという言葉を海洋底に限定している。何でかと言うことも本書で詳しく語られるが、要するに、海洋底がモノスゴク固くてプレート境界以外でほとんど変形しないのに対し、大陸を乗せているリソスフェアは簡単に変形して、「プレート」と言いにくいらしい。

通常、VSIでは標準的なフォーマットとして「研究史」「研究方法」「研究結果」が語られるが、本書ではすべてが織り込まれて一つのストーリーとして語られる。一つには研究の歴史が浅いせいで、大陸移動説やプレートテクトニクスがまともに受け入れられ始めたのは1960年代になってからのことだ。そういうわけで、通常の教科書よりは物語性が高くて読みやすい。一つ残念なのは、日本周辺の話が手薄なことだが、語られているのは基本的に一般論なので、日本周辺でもだいたい同じことなんだろう。熊本の地震もあったことだし、プレートテクトニクス一般だけでなく、地震や地質学に関心がある人にもお勧めだ。

We who live in a island arc should be familiar with this theme. Much more fascinating than I thought.

Oxford Univ Pr(2015/05)
英語
ISBN-13: 978-0198728269