このシリーズのフォーマットに則った、米国連邦議会の入門書。機能と現状と歴史を交えながら解説していく。最後はCapitolの案内まで。翻訳しても売れると思うけど、米国議会を学ぼうとするくらいなら、この程度の英文は読めるはず。最初の一冊としてもお奨めだし、基礎教養ということなら、これで完結している。
これを読み終わると、"Congressional Procedures and the Policy Process"がだいたい理解できるようになる。こっちはすべての議会関係者・ロビイストの必携書ということになっていて、立法過程の戦略が詳細に解説されている。これ以上詳しく学びたいということだと、"The Hill"とか"Roll Call"みたいな業界紙を読みながら専門に研究するか、この本を片手に連邦議会周辺で働くしかない。
もっとも、米国の法律が主たる興味という場合は、"Congressional Record"とか"Federal Register"とか判例とかを読めるようになるほうが優先課題だ。この辺りは、わたしはNOLOの"Legal Research"で学んだけど、もっと重い本でよければいくらでもあるし。
それにしても、日本の国会に関しては、こういう分かりやすい中立な解説書がなさすぎる。一番それらしいのが「新・国会事典」だけど、どうも建前な解説が多くて、リアルなところが分からない。議会の歴史がまだ浅いのかな・・・。