2010年6月3日木曜日

Desert (Oxford Very Short Introduction)

砂漠の自然地理とか人文地理とか地学とか博物学とか。高校の頃に地理の時間に習ってそのまま二度と思いだすことのない単語が頻出する。わたしは地理とか生物とか嫌いだったけど、それでも面白いんだから、相当な名著かもしれない。著者は砂漠に関するテレビ番組を作ったりもしているようで、この面白さは納得できる。

主題は砂漠の物理と、そこに住む生き物や人間文化の驚異だ。もちろん環境問題にも触れられているけど、視点が完全に観察者で、鬱陶しい「ねばならない」という観念が薄く、砂漠の豊かな自然を語るほうに重点がある。たとえば地下水を汲み上げて無理矢理砂漠の上に作った都市とかについても、「長くは維持できないだろう」みたいな観察をするくらいで、要は砂漠の一時期の一風景でしかないんだろう。

とかく、砂漠というと最近はロマンというよりネガティブな印象のほうが強いけど、かなり感覚が変わる。とりあえずサボテンでも買ってこようと思う。