対象読者は高校生~大学生くらいだろうか。色んなディベートトピック、例えば「死刑は廃止すべきか否か」とか「麻薬は合法化するべきか」みたいなことについて、proとconを挙げまくっている辞書みたいな本。一応読みごたえはあったが、もちろんリアルなデータに基づいて論じたりしているわけではないから、基本的にはディベートとか小論文とかの役にしか立たないだろう。英検的な試験の対策とか、語学の授業とか、作文の宿題とか…。こんな本があるのかと呆れたが、その界隈では有名な本らしい。19版とか言っている…。
呆れたというのは、発想が安直すぎるからで、しかし、冷静に考えると当然需要があるはずだ。わたしはそんなに真っ当な語学教室に通った経験はないが、何語であれB2とかC1とかになるとエッセイとかディベートとかの比重が増えるが、頻出テーマは限られている。パッと思いおこして原発とか移民とか逆差別とか代理出産とか、ほぼこの本に項目として挙がっている。
語学の授業でのムダと言えば、まず勝手に状況を想像して演じるrole playingで、「語学がどうとかよりも状況の想像のほうに圧倒的に頭を使う」ようなことで、一体何の授業なのかというのが一番だが、これはB1くらいまでの話だ。B2以降は「語学がどうとかよりも議論自体の内容に頭を使う」みたいなムダが多く、この本を使えば随分効率化される。先生が公式にこの本を推薦しにくいのかもしれないが、わたしは躊躇なく推薦する。
余談だが、わたしはディベートという作業にそんなに価値があるとは思っていない。語学の授業の一環で一応あってもいいのかもしれないが、人を言い負かす技術なんか身に着けても利益より害のほうが大きい気がする。真実を発見したり、人を説得したり、アイデアを出したりするために議論するのは有用だが、そういう局面で相手を論破することを目的に議論する奴が一人でもいると邪魔にしかならない。
Very useful for the second language course students. It does not add to your knowledge, but saves tons of research time. With this book, you can your study time for more important things.
Routledge; 第19版 (2013/9/27)
言語:英語
ISBN-13:978-0415827805