2021年5月10日月曜日

David Cottington "Modern Art: A Very Short Introduction" [モダンアート:非常に短い入門]

目次 1.前衛を辿る 2.モダンなメディアとモダンなメッセージ 3.ピカソからポップアイドルへ:芸術家の名声 4.錬金術の実践:モダンアートと消費主義 5.ポストを越えて:一体次は何?

そんなに興味がない…というのも、国立西洋美術館とかに行っても、常設展の順路の最後のほうになると「あー。はいはい」ということで疲れていることもあってほぼ素通りというのが実態で、別にわたしに限ったことでもないと思われる。この本の序章でマネの「草上の昼食」が取り上げられているが、あれくらいの嘲笑は分かる。説明してくれている通り、「あなたたちが美術館で有難く見ている裸婦像はこういうことですよ」という質の悪い冗談なんだろう。ただ、この話を分かるためには、当時の美術界の様子やら、当時の社会通念を理解している必要があり、この時点で面倒くさい。とにかく理屈先行で、芸術家が何と戦っているのか理解する必要があり、特に時代が経過すると戦っている相手が今では消滅していたりするため、少し時代が経つだけでこの類のハンドブックがないと何のことやら分からない。とにかくマニアックな狭い世界の話で、それでもわたしは同伴者に説明する側ではあるが、自分で自分のマニアックな話にうんざりする。まあ実際に大金が動く世界の話なんで、モダンアート投資家になりたい人はこの本くらいから始めるのだろうか。VSIなだけはあって、この類の本にしては良心的だと思う…というのは、本書でも繰り返し語られているように、モダンアート全体が詐欺師集団ではという疑いは常に持たれていて、その疑いを晴らしたいという著者の思いは分かった。しかし、マニアックな話であることに変わりない。マニアックであること自体が敗北であるという観点はないのだろうか…。

Good. Modern art requires much education to appreciate.

Oxford Univ Pr (2005/5/26)
言語 : 英語
ISBN-13 : 978-0192803641