この巻は日常を越えるイベントが多かった。まずSnoopyの恋は珍しい。後に定番になるが夏キャンプも初めてだ。Snoopyがタイプライターを持ちこんで有名な"It was a dark and stormy night."を書き始める。基本的に何も変化のないこのマンガとしては、LinusとLucyの引っ越しとかSnoopy houseの火事も相当な話だしCharlie Brownは可哀そうに車に轢かれている。
キャラとしてはMiss Othmarは姿は見せないが普通にいる。Friedaがこのマンガでは唯一面長になりつつある。Shermyはまだいる。Kite-eating treeが正式に登場。Daisy Hill Puppy Farmも登場し、Snoopyが"One brother lives in Washington, and the other in Texas. One sister lives in St. Louis, one in Hollywood and one in Kansas."と言っている。The little red-haired girlも定番化。小鳥が生まれてWoodstockみたいな形状に。夏キャンプでRoyが登場し、翌年にはRoyと共に遂にPeppermint Pattyが登場する。当初は夏キャンプ限定キャラだったようだが、後の彼女を知っていると初登場は感動的だ。考えてみると、このマンガはPeppermint Pattyみたいないかにもアメリカ人好みのフレンドリーなキャラが少ない。LinusとSnoopyが彼女の家を訪問するのも、日常の範囲を越えている。あと、このマンガは基本的に無名キャラは出てこないが、キャンプだけはたまに無名キャラがいる。
色々盛りだくさんだが、しかし、この巻で最も重要なのはWWI flying aceとRed baronの登場だろう。Snoopyの愛機はSopwith Camelだが、史実通りロータリーエンジンを搭載しているのでジャイロ効果が働き、トルクが右回りなので全加速で右旋回すればRed baronのFocker三葉機がついてこれないとか、機銃がプロペラに同期しているとか、やたら詳しく、普通の読者がついてこれる話に思えない。作者はちょっとだけ第一次世界大戦に従軍していたが、当時はこれくらいのことは通じたのかね。
社会面ではテレビの全盛期と言う感じがする。このマンガの初期はラジオの時代だが、この変から最後までテレビの時代になる。そういうことでは、同時代の日本とはやはり経済格差がある。洗濯乾燥機はわりと初期からあるが、この時代に普通に電動歯ブラシを使っている。気になる言葉として"Judo chop"とか"ZE English"とか。あと、昔から気になっているが、Sallyが学校でやる数学が小学生レベルではない。
Love it!
Canongate Books Ltd (2010/10/7)
言語: 英語
ISBN-13: 978-1847678157